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乳がんの術後ホルモン療法で、薬の変更は? 副作用がつらいなら別の薬に切り替えても がん電話相談から

産経ニュース / 2024年12月3日 8時10分

高野利実医師

今回は、乳がんの術後ホルモン療法中に反対側の乳房に非浸潤がんが見つかり、薬が効かなくなったのかと心配する60代女性の悩みに、がん研有明病院の院長補佐で乳腺内科部長、高野利実医師が答えます。

──平成30年3月、左乳房のしこりに気付き受診。乳がんと判明し、5月に左乳房全摘術とセンチネルリンパ節生検を受けました。がんの大きさは1.4センチ、ホルモン受容体陽性、HER2陰性、病理学的な悪性度は3段階でもっとも低い1で、リンパ節転移が1個見つかりました。

「術後の治療は?」

──胸壁とわきの下への放射線治療を受けるとともに、ホルモン療法としてアロマターゼ阻害薬のアロマシン(一般名エキセメスタン)の服用を始めました。5年の予定でしたが、途中で10年に延長することになりました。服用開始から6年たった時点の検査で右乳房に異常が指摘され、非浸潤性乳管がん(がん細胞が乳管内にとどまっていて、手術のみで根治できる「前がん病変」)と診断されました。今年9月に右乳房全摘術を受けました。

「今後の治療の予定は?」

──アロマシン治療中に非浸潤がんが見つかったので、治療が効いていないのではないかと思い、担当医に聞いたところ、抗エストロゲン薬のタモキシフェンへの変更を提案されました。次の受診の際にアロマシン継続か、タモキシフェンへの変更を選ぶことになっていますが、迷っています。

「今回の右乳房の非浸潤がんは、左乳がんが転移したのではなく、左乳がんに対するホルモン療法の効果がなくなったわけではありません。右の非浸潤がんは切除のみで治療終了ですので、左乳がんに対するアロマシン治療を継続するのでいいように思います。ただタモキシフェンも標準的なホルモン療法ですので切り替えるのも間違いではありません。アロマシンの副作用はどうですか?」

──アロマシン開始後、関節痛が続いていて、結構つらいです。骨粗鬆症(こつそしょうしょう)もあって治療薬のプラリアの注射を6年間続けています。

「アロマシンの副作用でそんなに困っているのであれば、タモキシフェンに切り替えてもいいと思います。タモキシフェンには骨密度を保つ作用があると言われていますし、関節痛の副作用も少ないです。ただ、タモキシフェンにも副作用はありますので、実際に使ってみて判断するのがいいでしょう。閉経後の場合、タモキシフェンよりもアロマターゼ阻害薬のほうが再発を抑える効果が強いとされていますが、すでに6年間服用していますし、これ以上は無理しなくていいと思います」

「術後ホルモン療法のみ続けている方は『乳がん患者』は卒業していて、『乳がんサバイバー』と呼ばれることがあります。がんのことは気にしすぎず、自分らしく過ごすのがよいと思います。何か趣味はありますか?」

──ヒップホップのダンスをやっています。ただ、関節痛があるので最近はあまり楽しめていません。

「そうなんですね。副作用でそんな影響が出ているなら、やっぱりアロマシンはやめるのがよさそうです。関節痛が改善して、気持ちよくダンスを楽しめるといいですね」

「がん電話相談」(がん研究会、アフラック、産経新聞社の協力)は毎週月~木曜日(祝日・振替休日を除く)午前11時~午後3時に実施しています。電話は03・5531・0110、03・5531・0133。相談はカウンセラーが無料で受け付けます。相談内容を医師が検討し、産経紙面やデジタル版に匿名で掲載されることがあります。個人情報は厳守します。

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