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ワクチン接種がインフルエンザの発症を抑える仕組みとは? いきいき人生の処方箋

産経ニュース / 2024年12月19日 8時10分

亀山祐美医師

そろそろ、インフルエンザのワクチン接種は済ませましたか?

病気の原因となるウイルスは、鼻やのどの細胞に取りついて、仲間を増やそうとたくらみます。これが「感染」している状態です。その時、そうはさせまいと白血球(防衛軍)が現場に急行してウイルスと戦います。この、ウイルスと戦う力が「免疫力」。ほとんどの場合、防衛軍が勝って事なきを得ますが、体が弱って免疫力が落ちていると、発症・発病してしまいます。

インフルエンザが発症すると、子供の場合、重篤なインフルエンザ脳症を引き起こす心配があります。大人でも高熱が出て、高齢であれば命の危険を伴うことも。そうならないためにも、毎年ワクチンを打ち、手洗いとうがいで手やのどについたウイルスを除去するなど、予防に努めましょう。

では、インフルエンザのワクチンはどのような仕組みで発症を抑えるのでしょう。ワクチンとは、ウイルスを思い切り弱くしたもの。それをほんの少し体内に入れて「軽く感染させる」のが予防接種です。これにより、発病することなく、白血球にあらかじめ対ウイルスの武器となる〝設計図〟を作らせておくのです。

子供が打つ麻疹(はしか)や水痘(水ぼうそう)のワクチンは、一度接種すると長期間、体内に抗体として記憶されます。一方でインフルエンザは、毎年流行するウイルスが〝変身〟するため、シーズンごとの流行に合わせたワクチンを打つ必要があります。したがって、インフルエンザA型の予防接種を打ってもB型にかかってしまう-ということが起きるのです。

インフルエンザワクチンの製造には、ニワトリの有精卵が必要です。弱毒化したウイルスを有精卵に植え付けて増殖させ、精製します。予防接種の際、予診票で必ず「鶏肉や卵のアレルギーはありませんか?」と確認されるのは、製造過程で鶏卵を使っているからです。

ただし、卵アレルギーだからといって、必ず症状が出るわけではありません。軽度の卵アレルギーの人は、接種後に症状が出ないかどうか、病院内にとどまって経過観察することになっています。

ウイルスが増殖しやすいのは、低温で乾燥した環境です。冬には体を温め、温かい飲み物で喉や鼻を潤し、室内では加湿器を使い、外ではマスクをして、体内へのウイルス侵入を防ぎましょう。(東大病院老年病科 医師 亀山祐美)

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