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世界が注目する「異種移植」、拒絶反応抑える遺伝子改変も ブタ腎臓の胎児への移植計画

産経ニュース / 2024年10月4日 19時0分

東京慈恵医大などのチームが4日、学内の委員会に、重い腎臓病の胎児にブタの腎臓を移植する臨床研究を申請した。このブタの臓器を人に移植する「異種移植」を巡っては、実用化を目指す動きが世界で活発化している。近年は提供臓器が人体に入ることの「拒絶反応」が起きにくいよう、遺伝子改変されたブタを使った研究も進む。

先行するのは米国だ。2022年1月には、重い心臓病の50代患者にブタの心臓を移植。今年3月には、末期腎不全の60代患者にブタの腎臓を移植(いずれも約2カ月後に死亡)するなど、手術数を積み上げている。

中国でも今年5月、肝臓がんの70代患者にブタの肝臓が移植されたことが明らかとなった。

ただ、異種移植が新たな医療として成り立つには、手術の有効性や安全性の確認のほか、倫理面の検討、社会の理解促進など取り組むべき課題は多い。未知の感染症への懸念も残る。

背景に臓器の不足

一方、各国が異種移植に熱いまなざしを向ける背景には、移植のための臓器が慢性的に不足している現状がある。悩みの深さは日本も同じだ。

日本臓器移植ネットワークによると、人口100万人当たりの臓器提供者数は米国やスペインが40人を超えるのに対し、日本は1人に満たない。移植希望の登録者数(今年8月末時点)は腎臓が1万4491人、心臓が835人などと、多くが「待機」の状態にある。

こうした中、明治大発のベンチャー企業「ポル・メド・テック」(川崎市)は、米・バイオ企業から遺伝子を改変したブタの細胞を輸入。今年2月、移植用のクローンブタを誕生させた。

ブタは国内の研究機関に提供される予定で、腎臓をサルに移植し、正常に機能するかなどが確認される見込み。人への移植を目指す動きもある。

ポル・メド・テックの創業者で明治大の長嶋比呂志教授(発生工学)は「日本には臓器移植を待つ人が大勢いる。国内で異種移植が実現できれば、臓器の不足を補うことにつながる。研究をさらに前へ、進めてほしい」と思いを語った。(三宅陽子)

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