脳を知る 一次性頭痛 偏頭痛外来の受診検討を
産経ニュース / 2024年12月29日 11時0分
当院では令和5年11月から予約制で「片頭痛外来」を開設しております。片頭痛のみならず慢性頭痛全般を対象にしております。
頭痛に明確な原因があるものを二次性頭痛といいます。具体的には脳出血やくも膜下出血などの脳血管が切れたり破れたりすることによるもの、頭蓋骨内のできもの(脳腫瘍)など、MRIやCT検査で原因が発見できる疾患が該当します。MRIやCTで見えないものでは髄膜炎など炎症疾患も含まれます。
逆に検査で原因がはっきりしない頭痛を一次性頭痛といいます。片頭痛がその代表的なものですが、緊張型頭痛、群発頭痛、発作性片側頭痛なども知られています。
頻度としては緊張型頭痛が一番多いですが、軽症例が多いとされます。片頭痛は何となく頭痛がよく起こる場合安易に「片頭痛」とされている場合もあり正しく診断されていない例もよくあります。男性よりも女性に圧倒的に多く、女性ホルモンのバランスとの関連も指摘されており月経前に頭痛が強くなる方なども多いです。治療薬は複数あり順番に合う薬を試していくように治療していきます。
一方群発頭痛は男性に多いとされ、片方の目が強く充血し涙が止まらなかったり、鼻水が出たり鼻が強く詰まったり、自律神経症状が強く出るのが特徴です。群発の名の通り一旦起こると1~2カ月続き数年単位の周期で起こることが多い頭痛です。
発作性片側頭痛は群発頭痛に似ている部分がありますが若年女性に多く、インドメタシンという内服が効きやすいことが特徴です。
おのおのの頭痛には特徴がありますが、混合型といって複数の頭痛が混ざっている例も少なくなく、それにより診断・治療が難しいこともあります。何より長年治療を受けられずに慢性化してしまうと治すまでに時間がかかりますし、症状も強くなっていきます。
一次性頭痛は生命に関わるものではありませんが生活の質を著しく落とします。仕事や勉強の効率も落ちますし、趣味や余暇を楽しむ余裕もなくなります。特に長年慢性頭痛に悩んでおられる方は一度「片頭痛外来」受診を検討ください。生活習慣から見直し適切な治療をご提案したいと思っています。
(済生会和歌山病院脳神経外科医長 三木潤一郎)
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