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脳を知る 奇妙な頭痛「睡眠時頭痛」は原因疾患のない一次性頭痛

産経ニュース / 2024年12月31日 11時0分

「眠ると頭が痛くなる」との訴えで70歳の男性が受診されました。

半年前から就寝後、午前2時頃に左側頭部に頭痛が起こり目を覚ますとのことです。頭痛の頻度が徐々に多くなり、1カ月前からは毎晩起こるようになりました。目が覚めるとしばらくして頭痛はなくなりますが、眠るとまた起こり目が覚めます。一晩でこの発作を3~4回繰り返すので睡眠不足になりました。ところで昼間には全く頭痛はありません。また頭痛の部位も毎回左側頭部の同じところです。頭部MRI検査も行いましたが脳に異常はありません。

決まった時間に頭痛が起こり短時間で治るがこれを毎日繰り返す、といえば群発頭痛という病気があげられます。この人の頭痛も群発頭痛に似てはいますが、群発頭痛では半年間も続くことはなく、通常1カ月ほどで治まります。またこの患者さんの場合、決まった時間というよりも睡眠時、特に熟睡したときに頭痛が起こるのが特徴です。このような奇妙な頭痛があるのでしょうか?

睡眠時頭痛(または「目覚まし時計」頭痛)という頭痛があることが国際頭痛分類に記載されています。これは睡眠中にのみ、頻回に繰り返し起こる頭痛発作で、覚醒の原因となり、特徴的な関連症状がなく原因が不明、と解説されています。また頭痛は月に10日以上、3カ月を超えて起こり、通常50歳以降で発症するとのことです。この患者さんは、まさにこの通りの病状であり、私自身初めての経験でしたが睡眠時頭痛と診断し、治療薬として記載されていたインドメタシンを処方しました。治らなければ再び受診するように、と言いましたがその後受診はないので治ったのでしょうね。

さて頭痛といえば、脳腫瘍や脳出血など怖い病気ではないか心配です。このような原因疾患のある頭痛を二次性頭痛といいますが、幸いにも頭痛疾患全体のなかでの頻度は低いです。それに対し、原因疾患のない頭痛を一次性頭痛といい、二次性頭痛より頻度は圧倒的に高いです。一次性頭痛のなかで代表的なものが緊張型頭痛や片頭痛であり、頭痛疾患の大部分を占めています。

今回紹介した「睡眠時頭痛」も一次性頭痛ですが、他にも「咳嗽性(がいそうせい)頭痛」「運動時頭痛」「性行為に伴う頭痛」「寒冷刺激による頭痛」などなどさまざまな一次性頭痛があります。こういった頭痛の頻度は分かりませんが、そもそも病院を受診することが少ないためなのか、私自身このような奇妙な頭痛を診療したのは初めてでした。

(済生会和歌山病院副院長兼脳神経外科部長 小倉光博)

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