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月経痛がまんせず治療へ 低用量ピルや器具装着など合うものを

産経ニュース / 2024年11月21日 8時10分

T字形の器具の子宮への挿入イメージ (當銘梨夏撮影)

頭や下腹部がひどく痛む月経痛や、痛みに加え、下痢や吐き気などに苦しむ月経困難症。「毎月起こる仕方のないこと」とがまんして、治療するという選択肢をとらない女性もまだ多い。女性の健康課題への関心が高まる今、専門家は「医薬品も選択肢の一つとしてあることをまずは知ってもらいたい」と指摘する。改めて治療法を聞いた。

月経中、下腹部が痛むのは、子宮の収縮を促す生理活性物質「プロスタグランジン」の働きによる。子宮内膜で作られて、不要な内膜を子宮から排出するのに不可欠な物質だが、痛みを引き起こす原因ともなる。過剰に分泌されると月経痛や、その他の不調を伴う月経困難症を生じる。痛みの程度は人によりさまざまだが、ひどいと寝込むほどとなり、仕事を休まざるを得ない人もいる。

ところが「毎月のことだから」と、痛みや不調をがまんしたままにする女性は少なくない。

内閣府の「男女の健康意識に関する調査」(令和5年度)によると、閉経前の女性(約5500人)の72.9%が、「月経痛」が生活への支障となっていると回答。しかし、不調に「特に対応していない」との答えは43.0%となり、「ピルを飲んでいる」は6.8%にとどまった。

中には「市販の薬(痛み止めなど)や漢方・サプリメントを飲む」(34.8%)という方法で、痛みに対処している人もいた。しかし、それらは症状を和らげるだけで、根本的な治療とはならない。

26年に保険適用

実際、月経困難症の主な治療法には、どのようなものがあるのか。

一つは、2種類の女性ホルモンを配合した「低用量ピル」の内服だ。子宮内膜の増殖を抑制し、プロスタグランジンが増えないようにし、治療する。月経困難症だけでなく、月経前症候群(PMS)も緩和するとされる。ただ、毎日の服薬が欠かせないため、飲み忘れないように注意が必要となる。また副作用として血栓症のリスクがあるため、40歳以上や肥満の人、喫煙者には処方が難しい場合がある。

もう一つは、女性ホルモンを持続的に放出する小さな器具を子宮内に装着する方法だ。器具は3センチほどの小さなT字形で、これを子宮内に装着すると、黄体ホルモンの「レボノルゲストレル」が持続的に染み出して、子宮内膜の増殖を抑える。すると内膜から分泌されるプロスタグランジンの量が減り、月経が軽くなる。

元は避妊具として開発されたが、平成26年から月経困難症と過多月経の治療薬として保険適用となった。年齢や喫煙の有無による制限はなく、一度装着すると約5年、効果が持続する。

自分の体の主権

「性と生殖に関する健康と権利への意識が広まり、『自分の体の主権』は自分が持つという認識で、体の問題に対処しようと考える女性も増えてきた」と話すのは、丸の内の森レディースクリニック(東京)の宋美玄院長だ。

同クリニックは「ピル外来」を設け、月経困難症の治療や月経リズム調整や避妊などに対処。また子宮内への治療器具の装着も、6年間で1千件以上行ってきた。働き盛りや妊娠したことのない女性への装着も多く手掛けているという。

自身も子宮内に器具を装着しているという宋院長は「医薬品を用いた月経痛の治療法については、知名度がまだ低く、誤解も多い。まずは選択肢があることから知ってもらい、自分の体の状態に最適な方法を自分で選べるようになってほしい」と話している。(當銘梨夏)

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