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卵巣の類内膜がんⅠC1期 昨年末から抗がん剤治療を始めたものの、再発が心配です がん電話相談から

産経ニュース / 2025年2月11日 7時30分

瀧澤憲医師

今回は、手術の際に腫瘍が破れ、進行期がⅠA期からⅠC1期となった卵巣がん患者の60代女性の悩みに、がん研有明病院の元婦人科部長、瀧澤憲医師が答えます。

--平成14年にがんの手前の子宮頸部(けいぶ)高度異形成と診断され、子宮頸部円錐(えんすい)切除術を受けました。以降、定期検診で経過観察していましたが、令和6年9月、右卵巣がんに。翌月、子宮と両側の卵巣・卵管を摘出、大網(胃下部から腸まで覆う膜様組織)を切除。しかし骨盤腹膜などに癒着していた腫瘍が摘出時に破れてしまいました。リンパ節郭清はしていません。

「卵巣の腫瘍は骨盤内の臓器と癒着すると毛細血管やリンパ管が通じてしまい、強引に動かすと破裂することがあります。腫瘍の中のがん細胞が漏れ、再発リスクが高まると思われそうですが、そうとは限りません。漏れを最小限に抑え、骨盤や腹腔(ふくくう)の内側を生理食塩水で洗浄するからです。術後の病理診断は?」

罹患者は少ない

--子宮内膜症性の卵巣嚢腫(のうしゅ)の内側に発生した類内膜がんでした。術前は進行期がⅠA期でしたが、腫瘍が破れてⅠC1期となり、術後化学療法を行うことになりました。類内膜がんはどんながんですか?

「卵巣がんの組織型の一つです。その顔つきが子宮内膜に似ているためそう呼ばれます。抗がん剤が比較的よく効きます。卵巣嚢腫を構成する細胞が閉経前後のホルモン環境の激変などでがん化し発症します。ほかに漿液(しょうえき)性、粘液性、明細胞がんなどがあります」

--再発リスクは?

「卵巣がんの症例は漿液性がんと明細胞がんが比較的多く、罹患(りかん)者が少ない類内膜がんは、明細胞がんのデータを参考に治療します。明細胞がんのⅠA期は5年生存率が約95%で、通常、抗がん剤は必要ありません。ⅠC1期だと約88%。類内膜がんはさらに抗がん剤治療の成績がよく、ⅠC1期でも90%以上になることが期待できます」

「一方、リンパ節転移の確率は、類内膜がんはⅠ期でも約10%です。リンパ節郭清をしていない相談者は再発の確率がさらに高くなります。特に剝離(はくり)部位の周辺にリンパ管などを通してがん細胞が拡散する腹膜播種(はしゅ)再発が懸念されます。術後化学療法による全身治療が得策です。実際の治療は?」

2剤併用治療は6サイクルが標準

--抗がん剤のドセタキセル(商品名タキソテール)とカルボプラチン(パラプラチン)の2剤併用治療を昨年末に始めました。

「妥当な治療です。この治療は6サイクルが標準。ⅠA期でも腫瘍の癒着があれば、がん細胞が残っている可能性があるため3サイクル以上が推奨です」

--再発リスクは下がりますか。

「抗がん剤の有効性は漿液性がんでは85%、類内膜がんでは大体60%の確率といわれています。相談者はがんを切除し、今は目に見えないレベルのがんを治そうとしていますから、6サイクル投与すればおそらく大丈夫でしょう。術後2年で症状がなく、PET-CTなど画像でも見つからず、腫瘍マーカーも正常なら再発リスクは元の5分の1になります。5年経過でさらに5分の1になるので、安心できるのではないでしょうか」

「がん電話相談」(がん研究会、アフラック、産経新聞社の協力)は毎週月~木曜日(祝日・振替休日を除く)午前11時~午後3時に実施しています。2月11日は休みます。電話は03・5531・0110、03・5531・0133。相談はカウンセラーが無料で受け付けます。相談内容を医師が検討し、産経紙面やデジタル版に匿名で掲載されることがあります。個人情報は厳守します。

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