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防災バッグには下着を忘れず 薄手で乾きやすい素材を複数枚 避難時の女性の衛生対策に みんなで考える 思いやりのカタチ

産経ニュース / 2024年9月4日 8時0分

災害時の避難に備え適した下着の準備を呼びかける「HEAVEN Japan」の社員ら(同社提供)

1月の能登半島地震では断水が長期化し、洗濯ができない環境下で女性たちは下着を交換できないことに苦しんだという。避難先で心身の健康や安全を守るために、適した下着の準備にも目を配ってみよう。

被災地の厳しい衛生状況…

「発災後、トイレも整っておらず、お風呂もなかった。そのため、女性たちは、同じ下着で過ごし、陰部を洗うことができなかった。ドラッグストアの営業が再開してから、多くの人が外陰部のかゆみ止めの軟膏(なんこう)を買っている。しばらくして、ビデが使えるトイレが設置された避難所では、多くの女性が助かっていた」

これは、4月にまとめられた「令和6年能登半島地震の女性の経験と思いに関するヒアリング調査」で、避難所運営に携わった女性が語った避難生活の実態だ。

調査チームの一人で、「減災と男女共同参画研修推進センター」共同代表の池田恵子さんは、「災害への備えでは、長期的な避難生活でどうやって命を守っていくかを考えることも必要。女性の場合、衛生面では下着や生理用品の準備が大切になる」と語る。

後回しになりがちな準備

だが個人が災害に備える段階では、下着の準備が後回しになっているようだ。女性用下着メーカー「HEAVEN Japan(ヘブンジャパン)」が災害への備えについて同社製品の利用者にたずねたアンケート(令和3年、回答者361人)では、約半数が「防災バッグを常備していない」と回答。また、「防災バッグを常備しているが、下着は入れていない」との答えも37%に及んだ。

この調査結果をホームページで紹介するなど「防災と下着」に関する情報発信に力を入れている同社。きっかけは、ある女性社員の提案だったという。

女性社員は旅先で早朝に大きな地震を体験。寝間着姿だったため、避難するにはまず身支度が必要だと痛感した。「女性たちが躊躇(ちゅうちょ)なく避難できるようにするには、夜間や就寝中も着用していられるナイトブラなどの下着の準備が大切ではないか」と社内で提起したそうだ。

ブラジャーはノンワイヤがおすすめ

防災バッグに入れるなら、どんな下着がいいのだろう。同社広報の梅井佑希子さんは「避難先では手洗いが想定されるため、乾きやすい素材や薄手のものがいい。ショーツは衛生を保つ意味でも複数枚あると安心」と語る。ブラジャーは「(胸を支えるワイヤのない)ノンワイヤのものであれば、バッグに折りたたんで収納できる。ナイトブラやカップ付きインナーであれば、就寝中も着用できるのではないか」と話す。

いずれも新たに購入する必要はなく、買い替える際に古くなったものを避難用としてバッグに入れるのがおすすめだという。

避難先では洗濯物を干すスペースが限られ、人目に触れる可能性もある。防犯を意識するなら、男性用に見える地味な色のボクサーパンツを準備するのも選択肢の一つだそうだ。

「ストレスの多い避難生活では、清潔な下着を着けていることが衛生面はもちろん心の健康を保つ一助になる」と梅井さんはいう。同社は能登半島地震の被災地に支援物資として女性用ショーツを提供したが、「地震直後は被災地が受け付ける物資のリストに下着は含まれておらず、被災者の元に届くまでには時間がかかった」と打ち明ける。

ぼうこう炎の予防など、清潔な下着は女性の命を守るために必要な物資だ。その認識が十分に浸透していない中、被災地で女性の避難生活の実態を調査した池田さんは「女性たちも防災活動や避難所運営に積極的に参加し、声をあげてほしい」と話している。(篠原那美)

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