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Ⅱ期の進行卵巣がんなら、術後の化学療法は必須? 虚弱体質なので心配 がん電話相談から

産経ニュース / 2024年9月3日 9時0分

今回の「がん電話相談」は、虫垂がんとⅡ期の進行卵巣がんの術後治療に悩む70代女性の相談に、がん研有明病院元婦人科部長、瀧澤憲医師が答えます。

--平成29年に皮膚がんの一種であるメラノーマ(悪性黒色腫)を手術で切除し、年1度のCT検査で受診。今年3月、CT検査で虫垂がんと進行左卵巣がんが見つかりました。

「どのような治療を受けましたか?」

--6月、外科医による手術で、虫垂の突起や(小腸が盲腸に接続する部位の)回盲(かいもう)部腸管を切除し、同時に婦人科医が子宮を全摘、両側の卵巣・卵管を摘出し、大網(胃下部から腸までを覆う膜様組織)を切除しました。ただリンパ節郭清はしていません。

「病理検査の結果は?」

--虫垂は粘液性がんでした。腫瘍が被膜を破っていない早期で、手術で完全に切除できたため術後治療は不要とのことでした。一方、左卵巣のほうは、約7センチ大の囊胞(のうほう)内部にある約5ミリの結節(しこり)が、微小浸潤を伴う低悪性度漿液(しょうえき)性腺がんと診断されました。2つのがんは、どちらかの転移ではなく、別々の原発がんでした。また摘出した右卵巣の表面から微小結節が見つかり、組織が左卵巣と同じ種類で、囊胞は認められませんでした。

「右卵巣の微小結節もがんということです。左の卵巣のがんが何らかの理由でこぼれて右の卵巣表面に播種(はしゅ)したとも考えられます」

「通常、左右の卵巣双方にがんと囊胞があり、がん細胞の組織構造まで同じなのに、双方ともがんは卵巣内にとどまっている状態なら、一方からもう一方へ転移したものではなく、別々に同時に発生したIB期のがんと考えます」

「しかし相談者の場合、左卵巣と違って右卵巣に囊胞がありません。よって別々に発生したがんではなく、左から右へ播種したとも判断され、さらに悪いⅡA期になります。低悪性度なので高悪性度と比べて浸潤性が弱く、発育速度も緩やかですが、腹膜播種がある可能性も少なくありません。骨盤内から腹腔(ふくくう)内に広がればⅢ期になります」

--進行期がⅡA期だと術後治療は必須ですか?

「低悪性度漿液性腺がんは、化学療法(抗がん剤)が良く効きます。相談者の場合、腹水中にがん細胞は認められず、右卵巣の播種も表面に約5ミリと小さく、すでにその卵巣も切除しているため、化学療法なしでも再発リスクは低いかもしれません」

「しかし卵巣がんがもう一方の卵巣にも播種した場合、術後の化学療法を勧めるのが原則です。たとえ手術でがんが十分に取り切れていても、リンパ節を取っておらず、ⅡA期だと化学療法なしでも大丈夫とは言い切れないのです。化学療法を少なくとも3~4サイクル行い、半年に1回、PET-CTで検査したらいいのではないでしょうか」

--私は虚弱体質のため化学療法が心配です。

「相談者はⅠB期に近いⅡA期のようなので、再発リスクは恐らく10%程度とみられます。再発リスクが低いことを考慮して、家族と話し合い、自己責任で化学療法なしの経過観察を選択しても主治医は好意的に受け止めると思います。ご自身で納得して決めてください」

「がん電話相談」(がん研究会、アフラック、産経新聞社の協力)は毎週月~木曜日(祝日・振替休日を除く)午前11時~午後3時に実施しています。電話は03・5531・0110、03・5531・0133。相談はカウンセラーが無料で受け付けます。相談内容を医師が検討し、産経紙面やデジタル版に匿名で掲載されることがあります。個人情報は厳守します。

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