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インフル、コロナ、マイコプラズマ肺炎の〝3種流行〟懸念 手洗いなど対策を

産経ニュース / 2024年11月13日 22時34分

季節性インフルエンザが例年よりも早く全国的に流行入りし、今冬も新型コロナウイルスとの同時流行が懸念されている。足元ではマイコプラズマ肺炎も流行しており、他の感染症との〝3種流行〟にも警戒が必要だ。危機感を強める現場は「基本的な感染対策とともに、重症化リスクのある人はワクチン接種が大切」と呼びかけている。

検査希望せず

「急にのどが痛くて」。12日午前、東京都渋谷区の「みいクリニック代々木」を訪れた区内在住の女性(80)は、医師にそう症状を訴えた。

熱っぽく2日間寝込んでいたという女性。風邪と診断されたが、「インフルエンザや新型コロナが頭をよぎり、早めに受診した」と話した。

同クリニックでは1日30人程度がせきや熱の症状を訴え、発熱外来を訪れる。約1割がマイコプラズマ肺炎と診断されており、約3週間前からインフルエンザの患者も出始めたという。

宮田俊男理事長によると、とくに20~30代の患者は高額な治療薬の処方を断る傾向にある。また発熱外来を訪れる患者の4割は詳しい検査を希望しないという。宮田氏は「陽性と出ることを嫌がっている人が少なくない」と話す。

複数感染も

同クリニックの三島千明院長は「夏は感染症が少ない時期だが、今年は夏から秋にかけて患者が途切れない。インフルエンザや新型コロナの流行が本格化すると、さらに患者の増加が予想される」と懸念を示す。

インフルエンザと新型コロナが同時流行した昨冬は1日50人以上の患者が発熱外来を訪れた。両方に同時感染している患者もいたという。宮田氏は「現状は感染が拡大する前段階だが、昨年同様の流行が懸念される」と話した上で「今年はすでに感染症自体が流行していて、他の感染症が同時に流行することはありえる」と指摘する。

同時流行した場合、検査キットやせき止め薬などが不足する恐れがあるという。宮田氏は「持病などで免疫が低い高齢者にはワクチン接種を推奨している」と話した。

患者数高止まり

国立感染症研究所によると、全国に約5千ある定点医療機関から今月3日までの1週間に報告されたインフルエンザの患者数は、1医療機関当たり1・04人で、流行開始の目安となる1人を超えた。今年の流行入りの時期は、1年を通じてインフルエンザが流行した昨年を除き、過去2番目に早い。

マイコプラズマ肺炎も流行が続く。全国約500の定点医療機関から今月3日までの1週間に報告された患者数は1医療機関当たり2・46人。前週まで5週連続で過去最多を更新し、高止まりの状態だ。

新型コロナは10週連続で減少しているが、冬の到来とともに感染拡大する傾向がある。厚生労働省は感染症対策として、手洗いやマスクの着用など基本的な対策のほか、重症化リスクが高い高齢者らはワクチン接種の検討も呼び掛けている。

新型コロナ 高齢者の抗体保有率低く

国が今年3月、献血者1万8048人(16~69歳)を対象に実施した調査では、新型コロナ感染で得られた抗体の保有率は64・5%。年齢別では16~19歳が80・5%だったのに対し、60~69歳は51・6%と低い状況だ。

一方、昨秋に始めた新型コロナワクチンの接種率は、重症化リスクが高いとされる65歳以上で53・7%にとどまった。

同ワクチンは今年3月末まで特例臨時接種として、生後6カ月以上の全世代が無料で接種ができた。今年度から、65歳以上と重い基礎疾患のある60~64歳を対象に、原則費用の一部が自己負担となる定期接種に移行。10月、接種が始まった。

定期接種の費用は国が一部を助成。自己負担額は最大で約7千円となるが、さらに上乗せで補助を行う自治体もあり、実際の負担は0~3千円程度となるケースが多い。定期接種の対象でない人は任意接種となり、費用は原則全額(1万5千円程度)が自己負担。

日本感染症学会などは今冬の流行に備え、高齢者らに定期接種を「強く推奨する」との見解を公表している。ただ、定期接種の出足は鈍い。厚生労働省は12日、8日時点の医療機関への同ワクチン納入量が今シーズンの供給見通しの3224万回分に対し、計約457万回分にとどまっていることを明らかにした。

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