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Ⅱ期乳がん、術後にできた子宮内膜ポリープ 適切な治療法とは?  がん電話相談から

産経ニュース / 2025年1月28日 9時10分

瀧澤憲医師

今回の「がん電話相談」は、Ⅱ期の乳がんの術後化学療法中にできた子宮内膜ポリープの治療に悩む70代女性に、がん研有明病院の元婦人科部長、瀧澤憲医師が答えます。

--令和2年11月に左乳がんと診断。3年1~7月に術前化学療法として抗がん剤のドキソルビシン(商品名アドリアシン)とシクロホスファミド(エンドキサン)の2剤併用のAC療法と、パクリタキセル(タキソール)を投与。同年8月に左乳房の部分切除術を受けました。しこりは2.3センチで、リンパ節や骨への転移はありませんでした。

「しこりが2~5センチの間でリンパ節転移がないなら進行期はⅡ期です。全摘は考えなかったのですか」

--部分切除でも再発の可能性にそれほどの差はなく、体の負担が少ないと考えました。切除後に残った乳房には、標準治療となる放射線療法も受けました。

「最近は部分切除後の放射線療法を嫌い、全摘を選択することが多いです。形成外科の技術も上がり、乳頭を残して全摘し術後半年くらいで乳房をきれいに再建できるようになりました。一方、放射線照射は皮膚を多少硬くするため、きれいに再建するのが若干難しくなります」

--そうなんですね。

がん疑いなければ経過観察で

「術後、薬物治療はどうされましたか?」

--ホルモン剤のアナストロゾール(アリミデックス)を同年9月から服用しましたが、体調が悪化、骨粗鬆症(こつそしょうしょう)にもなり腰椎を骨折。5年3月からタモキシフェン(ノルバデックス)に変えました。ところが6年8月の婦人科検診で子宮内膜に2個のポリープが見つかり、子宮内膜細胞診と組織診を受けました。ともに悪性ではなく担当医からは経過観察を勧められました。それでいいですか。

「アナストロゾールは、乳がんの原因の一つ、女性ホルモンのエストロゲンの血液中への分泌を著しく減少させます。エストロゲンは骨の形成に関与するため、減ると骨密度が低下し骨折しやすくなります。一方、タモキシフェンは乳腺のがん細胞に対しては増殖を抑制しますが、子宮内膜の細胞には逆に増殖促進に働く場合があります。服用する患者の約25%で子宮内膜が厚くなり、頻度は低いですが、子宮体がんのリスクが高まる人もいます。相談者の場合、子宮内膜の細胞が刺激され増殖し、一部がポリープとして出てきたのではないでしょうか。ただ細胞診、組織診ともにがんの心配がないとのことなので、経過観察でいいでしょう」

「もし検査でがんを疑う結果が出れば、内視鏡を子宮内に挿入し、ポリープを切除するのが普通です。入院が2泊3日で済み、体への負担も少ないです」

婦人科検診を受けよう

--検診は必要ですか。

「タモキシフェン内服中は子宮体がんの定期検診をお勧めします。1年か半年ごとに婦人科検診を受けていれば早期診断が可能なので、子宮体がんで死亡することは極めてまれです」

--タモキシフェンの内服を6年10月から中止しています。今後は?

「通常、再発抑制のためのホルモン療法は5年以上の継続が望ましいとされます。ポリープはタモキシフェン中止の理由にはなりません。乳腺の主治医から再発リスクの説明を受け、関節痛などの自覚症状と天秤(てんびん)にかけて、中止か継続かを検討しましょう」

「がん電話相談」(がん研究会、アフラック、産経新聞社の協力)は毎週月~木曜日(祝日・振替休日を除く)午前11時~午後3時に実施しています。電話は03・5531・0110、03・5531・0133。相談はカウンセラーが無料で受け付けます。相談内容を医師が検討し、産経紙面やデジタル版に匿名で掲載されることがあります。個人情報は厳守します。

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