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乳がんⅡ期、ホルモン療法でかゆみ…違う薬でも治療は継続を がん電話相談から

産経ニュース / 2024年6月18日 9時0分

がん研有明病院、高野利実医師

今回の「がん電話相談」は、乳がんの術後ホルモン療法が副作用で中止になり、その後の選択に悩む40代女性の相談に、がん研有明病院の院長補佐で乳腺内科部長の高野利実医師が答えます。

──令和4年11月、左乳房に2.1センチ、1.9センチと2つの腫瘍が見つかり、乳がんと診断。翌年2月に左乳房の全摘術を受けました。リンパ節転移はなく、ホルモン受容体は陽性、HER2は陰性で、(がん細胞増殖の活発さを示す)Ki67値は低く、穏やかな「顔つき」のステージⅡの乳がんと言われました。

「悪性度の低い乳がんで、リンパ節転移もなかったため、術後の抗がん剤治療は必要ないと判断されたのですね」

──そうです。術後ホルモン療法のみ行う方針となり、タモキシフェン(商品名ノルバデックス)の服用を始めました。生理を止める注射は使っていません。タモキシフェンを開始したあと、手や足、顔に強いかゆみを伴う湿疹が出ました。皮膚科でじんましんと診断され、アレルギー症状を抑える薬を使いましたが、かゆみは持続。タモキシフェンの副作用を疑い、服用をやめるとパッとよくなりました。

「ホルモン療法を再開する話は出ていますか」

──担当医からは、私の乳がんの再発リスクは低いので、ホルモン療法はこのまま中止にして、あとは無治療で経過観察するのがいいと言われました。今後は、1年に1回だけ通院する予定になっています。ホルモン療法は5年間が標準治療なのに、私は半年しかしていないので心配です。

「再発を抑えるというプラス面だけを考えるなら、ホルモン療法は5年間続けたほうがいいのですが、医療行為には必ずマイナス面が伴いますので、プラスとマイナスのバランスが重要です。再発を抑える効果と、かゆみなどの副作用を天秤(てんびん)にかけることになります。同じような副作用が出るようなら治療はしたくないですか」

──あの副作用は避けたいですが、再発のほうが心配なので、ホルモン療法を続けたいです。タモキシフェン以外の選択肢はないですか。

「タモキシフェンと同じ抗エストロゲン薬で、トレミフェン(同フェアストン)という薬があります。同じような副作用が起きるリスクはありますが、違う薬なので試す価値はあると思います」

「別の選択肢として、エキセメスタン(同アロマシン)などのアロマターゼ阻害薬を、生理を抑える注射と併用しながら使う方法があります。ただ日本では、アロマターゼ阻害薬は閉経後の患者さんに限って承認されているため、閉経前では使いづらいという問題があります。アロマターゼ阻害薬には骨粗鬆症(こつそしょうしょう)や関節痛などの副作用もありますので、やはりプラスとマイナスのバランスを慎重に検討する必要があります」

──次回の診察が来年2月の予定です。

「ホルモン療法を再開したいという気持ちが強いのであれば、来年2月まで待つのではなく、早めに受診したほうがいいでしょう。担当医とよく相談して納得できる選択をしていただきたいと思います」

「がん電話相談」(がん研究会、アフラック、産経新聞社の協力)は毎週月~木曜日(祝日・振替休日を除く)午前11時~午後3時に実施しています。電話は03・5531・0110、03・5531・0133。相談はカウンセラーが無料で受け付けます。相談内容を医師が検討し、産経紙面やデジタル版に匿名で掲載されることがあります。個人情報は厳守します。

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