1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

高校生にフェムテック届け 「保健室BOX」プロジェクト、全国展開へ みんなで考える 思いやりのカタチ

産経ニュース / 2024年8月7日 8時0分

保健室にフェムテック商品を展示した埼玉県立鷲宮高校

生理などにまつわる女性の健康課題を解決に導く「フェムテック」。若い世代ほど浸透していると思われがちだが、実は未成年にはなじみが薄い。こうした状況を改善しようと、全国の高校の保健室にフェムテックの商品や情報を届ける「保健室BOX」プロジェクトが始まった。女性の健康課題について養護教諭から啓発し、高校生の心身の悩みやケアの実態を明らかにしていくという。

なじみ薄い未成年こそ

「保健室BOX」は女性の心身の健康課題の解決・支援事業を行うフェルマータ(東京都港区)と、養護教諭を多数輩出している女子栄養大学(埼玉県坂戸市)の保健養護学研究室が協働し、今年2月から準備を始めたプロジェクトだ。

フェルマータはこれまでフェムテック商品の紹介イベントを開催してきたが、「今年の来場者の内訳をみると、10代が1%未満であることに課題を感じた」と、同社COO(最高執行責任者)の近藤佳奈さん。

背景を調べると、フェムテック商品が10代にとって高額なことや、親にもなじみが薄く、家庭で触れることもないなど、未成年にはフェムテックが縁遠いことが分かってきた。

「部活や学業に打ち込みたい女の子にとって、フェムテックは生活の質を向上させる可能性を秘めている。心身のケアに多様な選択肢があることを若いうちから知ってほしい」。そう考えた近藤さんらは、保健室BOXプロジェクトの構想をふくらませた。その思いに賛同したのが、養護教諭を目指す学生を育てる、女子栄養大の保健養護学研究室だった。

ナプキンをつけなくても生理の経血を吸収する「吸水ショーツ」や膣内に挿入して使う生理用品「月経カップ」、デリケートゾーン専用のケア用品…こうしたフェムテック商品をフェルマータが準備。それを女子栄養大の研究室が卒業生のネットワークを生かし、高校の養護教諭につなぐ。

保健室で1~2週間、フェムテック商品を展示する間、養護教諭は高校生と健康について対話。悩みがあれば聞き取り、相談に乗る-。そんな啓発活動が6月、本格的に始まった。

悩みや実態を研究室に

プロジェクトの運営には研究室の大学4年生3人が携わっている。高校生と年齢の近い立場から展示物を選び、説明書きを作成した。

メンバーの一人、内堀菜湖美(なごみ)さんは、「選んだ展示物には高校生がすぐに使わない、出産後や更年期のケア商品も含まれているが、長い人生の中で、どの時期に、どんな困りごとが起きるのかを知っておけば備えられる。女性の人生と、そのときどきの健康課題を見通せるような表も手作りした」と話した。

プロジェクト参加校は現在、募集中だ。養護教諭が高校生からヒアリングした健康の悩みや生理ケアの実態などは研究室にフィードバックされる。集まった情報は内堀さんらが卒業研究としてまとめる予定。明らかになった健康課題の実態は、次の解決策を生むヒントとなる可能性がある。

6~7月にかけて展示を行った養護教諭らは「実際にグッズが目の前にあることで、女性の体のことを話題にしやすい」「教える私自身が知らないものもあった。まずは養護教諭から知識をアップデートし生徒に伝えていきたい」と話している。(篠原那美)

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください