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「何となく弱ったなあ」と感じたらフレイルかも 握力低下や歩行が遅くなったら要注意 いきいき人生の処方箋

産経ニュース / 2025年1月23日 9時0分

亀山祐美医師

年末年始に実家に帰省して、「何となく親が弱ったなあ」と感じた人もいらっしゃるでしょう。もしかしたらそれは、フレイル(虚弱)の兆候かもしれません。フレイルとは、加齢によって筋力や心身の活力が低下した状態。病気ではなく、健康と要介護状態の中間にあたります。

フレイルになると、活力や筋力、認知機能が低下します。そのために外出がおっくうになり、さらに活動性が低下して、人と接する機会が減り、食生活のバランスも悪くなって、ますます筋力や認知機能が低下する-という悪循環に陥ってしまいます。

健康だった人が要支援・要介護状態となる主な原因には、認知症や脳卒中、転倒などによる骨折だけでなく、フレイルも挙げられます。「要支援」の高齢者のうち、6人に1人はフレイルだとされています。

足腰の衰えや内臓の病気が原因で筋力や体力が低下する「身体的フレイル」、認知機能低下やうつなどが該当する「精神・心理的フレイル」、独居での孤立や経済的困窮などの「社会的フレイル」に大別されます。最近では、オーラル(口)フレイル、アイ(目)フレイル、ヒアリング(耳)フレイルなど、一人一人の状態をより詳しく見て、対応するようになってきました。

国立長寿医療研究センターが示している判定基準は、①6カ月で2キロ以上の意図しない体重減少②握力の低下(男性28キロ未満、女性18キロ未満)③直近2週間の原因不明の疲労感④歩行速度が秒速1メートル未満(大通りの信号を1回で渡り切れない程度)⑤週に一回も軽い運動や体操、スポーツなどを行っていない-の5項目。このうち3項目に当てはまればフレイル、1~2項目で予備軍の「プレフレイル」が疑われます。

人の寿命には、平均寿命のほかに、健康に自立して過ごせる期間を指す「健康寿命」があります。両者の差を見ると、健康を損なってから男性は平均8年、女性は同12年もサポートが必要な状態で過ごす計算になります。健康寿命を延ばして平均寿命との差を縮小するためにも、フレイルに早く気づくことが大切。適切なタイミングで適切な対応をとれば、改善する可能性があります。

私も50代になり、体力や筋力の衰えを感じています。プレフレイルにならないよう、スポーツジムに通うようになりました。(東大病院老年病科 医師 亀山祐美)

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