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エムポックス(サル痘)感染が世界で拡大 アフリカ外でも重症化 監視体制強化へ

産経ニュース / 2024年8月20日 17時26分

19日、アフリカ中部コンゴの医療機関で、ウイルス感染症「エムポックス」の治療を受ける患者(AP)

【パリ=板東和正】発熱や頭痛などを引き起こすウイルス感染症「エムポックス(サル痘)」の感染がアフリカや欧州、アジアなどで広がっている。今年に入って致死率や感染速度が高まり、世界保健機関(WHO)や各国が警戒を強化。監視体制の構築やワクチンの備蓄を進めている。

今年、1万8000人感染か

エムポックスはアフリカのコンゴ(旧ザイール)を中心に拡大。アフリカ連合(AU)の疾病対策センター(CDC)の16日の報告書によると、AUの12カ国での感染者数は今年に入り、疑い例を含めて約1万8000人と既に昨年(1万5000人弱)を超えた。死者数は541人と昨年(738人)より少ないが、感染速度が高く今年末までに昨年を上回る恐れもある。CDCは「大陸レベルで対応すべき最優先課題」と危機感を示した。

感染はアフリカが大半だが、他国でも流行している。スウェーデン保健当局は15日、エムポックスウイルスでより重症化しやすいタイプ「クレード1」の感染者が国内で見つかったと発表。アフリカ外でのクレード1の感染確認は初めてで、欧州連合(EU)の欧州疾病予防管理センター(ECDC)は16日、エムポックスの警戒レベルを引き上げると表明した。

フィリピンやパキスタンでも感染が確認されており、中国税関総署は15日付でエムポックスの感染地域からの渡航者や物品に対する水際対策を実施すると発表した。

WHOのテドロス事務局長は14日、エムポックスについて「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」に相当すると宣言。WHOとして最高度の警告を発し、感染拡大防止に向けた対策強化を各国に促した。

接触感染で流行加速の可能性

エムポックスを巡っては、WHOが2022年7月にもアフリカなどでの感染拡大を受けて緊急事態を宣言。23年に入り感染が欧州やアジアなどにも広がったが、新規感染者数が徐々に減少し、WHOは同年5月に緊急事態を終了させた。

今年のエムポックスは22~23年に比べてクレード1の感染が増加したほか、感染経路も多様化。欧州メディアによると、以前は男性同士の性的接触を通じた感染が中心とされたが、現在は汚染された物を触った手を介してウイルスが体内に入る接触感染などで流行が加速した可能性がある。家庭内感染が多く、女性や子供の感染者が目立つ。

WHOはワクチンの普及を訴えているが、アフリカ諸国では財政難などからワクチンの備蓄が遅れており、感染拡大を防げない恐れがある。

エムポックス 発熱や頭痛、リンパ節の腫れのほか、発疹などの症状がでる感染症。自然に回復することが多いが、クレード1に感染すると重症化しやすい。以前はサル痘と呼ばれたが、世界保健機関(WHO)が偏見を避けるために動物などの固有名詞を病名に付けない方針を示し「mpox」への変更を推奨。厚生労働省は昨年、「エムポックス」にする方針を決めた。

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