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乳児の母に睡眠を「産後ケアホテル」 出産のご褒美、24時間プロがお世話 近ごろ都に流行るもの

産経ニュース / 2024年8月24日 13時0分

朝食ルームサービスを提供する、ホテル椿山荘東京の産後ケア=東京都文京区(重松明子撮影)

数時間ごとの授乳などで睡眠不足になりがちな出産間もない母親を寝かせ、助産師らが24時間態勢で母子を世話して心身を回復させる「産後ケアホテル」が広がっている。目立つのがリゾート立地や高級ホテル内の施設だ。出費もかさむが、今や出産は人生で何回あるかというくらいの慶事。思い出に残るステイは記念日やご褒美消費の側面も強い。中には「宿泊券」がふるさと納税の返礼品として人気のホテルもある。

ふるさと納税返礼品にも

東京メトロ半蔵門線水天宮駅直結のロイヤルパークホテル。都心を一望する6室で産後ケア「ユアリト」が行われている。助産師、看護師、保育士が夜間も通しで乳児を預かり、乳房ケアなど必要な知識を伝えて母親の不安を和らげる。

生後1カ月の長女と前日にチェックインした高橋亜友美さん(38)は、「広いベッドで横になり、久々にゆっくりご飯を食べられた。子供と離れるのは悪いな、との思いもあったけれど常時モニターで様子を確認でき、必要な時はすぐに連れてきてもらえる。産後の痛みと忙しさで、睡眠もお風呂もままならない生活だった。今は主人が海外出張中で頼れず、ホテルステイはご褒美ですね」。

アパレル会社を経営し、取材日の午後は子供を預けたまま仕事に向かった。24時間の託児込みで、料金は3泊4日で22万5千円(食事別)など。「高いけれど、プロのサービスと人件費を考えれば納得できる」

ユアリトは三菱地所の新規事業だ。提案者の内田沙紀さん(33)は3年前の初産で産後ケアの重要性を痛感。「コロナ禍も重なって親のサポートも受けられない中、産後鬱に近い状態になった。一番の要因は睡眠不足。人格にも影響していたと思う」と振り返る。「会社員には時間外労働はここまでという法律で守られた過労死ラインがあるのに、産後の母親はそれを超えても救ってもらえないのかと苦しかった」

育休明け、先輩男性社員2人と事業提案。昨年の試験運用で27組が利用する手応えを得て今年7月、本格的にスタートした。産後ケア滞在中に祖父母も集まり「お食い初め」を開く家族など、ホテルの利便性を生かした利用が目立つ。

令和3年末にオープンした神奈川県のマームガーデンリゾート葉山は、1棟全47室、年間2千組超が利用する日本最大の産後ケアホテルだ。昨年から地元、横須賀市のふるさと納税に宿泊券が採用され、4組に1組がこれを活用している。

リカバリープラン利用者の8割が産院からの直行。平均宿泊数は16泊(24時間託児、1日5食付き)で、これには67万2千円かかる。高額だが会社員共働き夫婦などが利用し、追加料金を払って同宿する夫が館内でリモート勤務する姿も見られる。リフレッシュを目的とした短期プランの利用も活発だ。

「ストレスや不安の大きな産後だからこそ安心安全を前提に、非日常を味わえるリゾートライフが求められている。出産後の宿泊が、妊娠中の憧れや目標になるようなホテルを目指しています」と斎藤睦美社長(32)。土日祝日には東京駅、池袋駅、横浜駅から見学バスを運行し、ランチを無料で提供している。

歴史的庭園を擁するホテル椿山荘東京(東京都文京区)では、世帯年収2千万円層をターゲットにした産後ケア専用区画「アマテラス」が2月に新設された。

先進地、台湾のノウハウを導入し、24時間託児、回復食の薬膳スープや朝食ルームサービスで優雅な時間を提供。追加料金がかかるが夫の同宿も6割に上り、上の子との滞在も多い。実績は最短1泊、最長24泊、平均2~3泊の利用。9月末まで3割引きキャンペーン中で1泊5食付き15万4千円となる。

贅沢(ぜいたく)品だが、多くの母子に手が届きやすくなる施策などが進めば、少子化対策にも有効だろう。究極必要なのは、母が寝られる時間と場所だ。夫の思いやり次第で〝自宅産後ケアホテル〟も実現できると思う。(重松明子)

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