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子宮頸がんⅢ期 現在の治療で根治できると思うのに、主治医が抗がん剤の休薬を検討中 がん電話相談から

産経ニュース / 2024年9月17日 9時0分

瀧澤憲医師

「がん電話相談」の今回は、子宮頸(けい)がんの治療後に多発肺転移が見つかった56歳の患者に、がん研有明病院の元婦人科部長、瀧澤憲医師が助言します。

――令和4年1月に子宮頸部扁平(へんぺい)上皮がんⅢC2期(がんが子宮頸部周囲組織に浸潤し、骨盤と腹部大動脈周囲のリンパ節に転移)と診断され、放射線の根治的照射(外照射と膣腔内照射を併用)と化学療法(プラチナ製剤のシスプラチンを毎週投与)を受けました。翌年12月に左右両側の肺に多発転移が見つかり、TC療法(抗がん剤のパクリタキセルとカルボプラチンの2剤併用療法)に免疫チェックポイント阻害薬(ICI)のペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ)を併用した治療を開始。今年7月まで8サイクル実施した結果、肺転移は数が減って小さくなり、腫瘍マーカーのSCC(扁平上皮がん関連)抗原も3.5から0.9に。現在の治療を継続すれば根治できるのではと思うのですが、主治医はICIだけでの治療へ切り替えを検討しています。

「まずTC療法とICIの併用療法について説明します。ICIは免疫として働くリンパ球(T細胞)が、よりがん細胞を攻撃しやすくなるように働きます。一方、TC療法は、がん細胞を破壊。壊れたがん細胞から血液中に放出された物質の情報を血液中の単球(白血球の一種)が捕捉し、その情報をリンパ球に伝えます。リンパ球はその情報に基づいてがんを攻撃しますが、ICIがそれを促進することが期待できます」

「TC療法だけに比べ、ICIを併用した場合の治療成績(生存期間の延長)は明らかに高いです。ただ今回は7カ月間、8サイクルの治療で転移が縮小したものの、消失には至っていません。TC療法は有効と思いますが、効果が頭打ちと感じられるので根治は難しい印象です」

――TC療法とICI併用療法を続けた場合、何か不利益があるのですか。

「8サイクルの治療が有効だったので、さらに継続することは誤りとはいえません。しかし、継続中に肺転移の明らかな増悪が認められた場合、TC療法とICIを併用する治療は中止になります。そして、TC療法の継続は、骨髄機能(白血球、赤血球、血小板生成など)の重度の抑制を招き、その後の治療の選択肢を狭める恐れがあります」

――ICI単剤に切り替えた後、肺転移が増悪した場合はどうなりますか。

「ICIは自己免疫性の間質性肺炎などの副作用が生じることがありますが、TC療法のような骨髄機能抑制は少ないです。半年から1年ほどTC療法をお休みできれば、体力や骨髄機能を回復できるはずです。すると肺転移が増悪した場合、強い抗がん剤を再度用いることができますし、がんの栄養血管の新生を抑える分子標的薬ベバシズマブ(商品名アバスチン)とTC療法の併用療法も可能になります」

「がん電話相談」(がん研究会、アフラック、産経新聞社の協力)は毎週月~木曜日(祝日・振替休日を除く)午前11時~午後3時に実施しています。9月23日は振替休日のため、電話話相談を休みます。電話は03・5531・0110、03・5531・0133。相談はカウンセラーが無料で受け付けます。相談内容を医師が検討し、産経紙面やデジタル版に匿名で掲載されることがあります。個人情報は厳守します。

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