小池百合子都知事が助成公約の「無痛分娩」 、国内は増加傾向 母体にメリットとリスク
産経ニュース / 2024年6月18日 18時12分
東京都の小池百合子知事が18日、知事選(20日告示、7月7日投開票)の公約発表会見で、無痛分娩(ぶんべん)の助成制度創設に言及した。少子化対策の一環として一部の自治体で導入例がある一方、母体には一定のリスクもある手法で、利用促進に向けては正確な情報発信も重要になる。
痛みないと愛情わかない…偏見が壁に
無痛分娩は、陣痛や分娩の痛みを麻酔で和らげる手法で、痛みを脳に伝える脊髄に近い「硬膜外腔」に細い管で麻酔薬を注入するのが一般的。正常分娩の費用にプラスする形で、10万円~20万円程度の追加負担を求められるケースが多い。
無痛分娩は体力の消耗が少なく回復も早いとされ、心臓や肺の調子が悪かったり、血圧が高かったりする妊婦にメリットがある。
一方で、麻酔の誤注入や効き過ぎにより、低血圧や呼吸停止などの副作用が生じるリスクもある。
厚生労働省の令和2年9月の調査では、国内で無痛分娩は505施設(全分娩取り扱い施設の26%)で実施され、実施率は全分娩の8・6%。平成28年の実施率(日本産婦人科医会調査)は6・1%で、このところは増加傾向にあるが、フランスでは8割超、アメリカでも7割超といったデータがあり、海外に比べるとまだ浸透していない。
背景には、産科医や麻酔科医不足など態勢面、自然分娩より高い費用面のほか、「痛みに耐えることが美徳」「痛みが伴わないと赤ちゃんへの愛情がわかない」といった偏見の存在を指摘する声もある。
「あの痛みはもう…」町民の声きっかけに
群馬県下仁田町では、県内では最も早い平成29年4月から、無痛分娩費用の助成(自己負担額の2分の1、上限10万円)を始めた。当時、再度の出産を検討していた町民から「出産時のあの痛みを思うと、もう産みたくない」との声が寄せられたことがきっかけだったといい、町担当者は、「痛みによって出産をためらうことがないよう、選択肢を増やすという考えに立ち、制度が始まった」と説明する。
出産費用を巡っては、政府は正常分娩での費用に令和8年度から公的医療保険を適用し、自己負担を求めない方向で検討を進めている。現状は医療機関ごとに価格を自由に設定でき、全国平均は約50万3千円(5年5月時点)。子供を産んだ人に支給される「出産育児一時金」50万円でまかなえるが、地域差が大きく、東京都など大都市圏では自己負担が生じることも多い。
無痛分娩も現状は保険適用外。こうした状況に照らしてか、小池都知事は18日の会見で、知事選公約に無痛分娩の助成制度の新設を掲げ、子育てに「お金のかからない東京を目指す」などと述べた。(中村翔樹)
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