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脳を知る 認知機能チェック法 早期発見で症状改善も

産経ニュース / 2025年1月11日 7時0分

脳卒中や心筋梗塞などの予防に、高血圧や糖尿病、脂質異常症など生活習慣病のコントロールが大切であることは多くの方々が理解されていることかと思います。

認知症の中で最も多いアルツハイマー型認知症は、脳内でのアミロイドβの異常蓄積が原因で発病しますが、アミロイドβの蓄積が始まってから、アルツハイマー型認知症の発病までに十数年の時間を要することがわかっています。アルツハイマー型認知症の前段階状態である、軽いもの忘れを呈している状態を軽度認知障害(MCI)といいます。生活習慣病の制御が脳卒中や心筋梗塞などを予防できるように、MCIの段階で認知機能低下に備えることで認知症の発病を予防できる可能性があります。このためにはMCIをいかに早期に診断するかが重要となります。

認知症の早期診断として、MCIとアルツハイマー型認知症の症状の違いについて紹介します。もの忘れを指摘した場合の本人の対応に違いがあります。MCIの人は、ご自身が物忘れを自覚しているのにもかかわらず「年のせいだから。まあ、こんなもんでしょう」と軽くとらえがちです。アルツハイマー型認知症の人は、「いや、そんなことはない」と否定することが多いです。もの忘れがあっても、買い物や家事、電車やバスなどを使って外出するなどの日常生活動作が保たれていれば、MCIと考えてよいでしょう。それが難しくなる場合、特に普段内服されている服薬管理や、銀行のATMでの引き出しが難しくなる場合はアルツハイマー型認知症に近いのではと考えます。

ここで皆さまにも3分ほどでできる簡単な認知機能チェック法を紹介します。まず①「梅、犬、自動車」など無関係な3つの言葉を覚えてもらいます。次に②今日の日付、曜日、季節を答えてもらいます。さらに③立方体のイラストを見せて、それを模写してもらいます。最後に④先ほど覚えていただいた3つの言葉を思い出してもらいます。この②、③、④のうち1つ、特に④の3単語の再生で誤りがあればMCIの可能性が、2つ以上誤りがあればアルツハイマー型認知症の可能性が高いです。

認知症を早期診断することでいくつかのメリットがあります。ご家族など周囲の人が認知症の症状に早めに対応することで、本人が社会生活・日常生活に適応しやすくなります。MCIの場合、このような対応で症状が改善する場合もあります。また本人も認知機能がそれほど低下していない段階で、今後の人生設計や財産管理などについて自分で考え、対応することができます。先ほどの簡単な認知機能チェック法でMCIやアルツハイマー型認知症が疑われる場合は、認知症専門医の受診をお勧めします。

(公立那賀病院副院長 脳神経外科 藤田浩二)

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