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子宮全摘後に浸潤腺がんと判明 再発リスク勘案し再手術検討を がん電話相談から

産経ニュース / 2024年8月13日 9時0分

瀧澤憲医師

「がん電話相談」の今回は子宮頸部(けいぶ)の上皮内腺がんと診断され、子宮全摘術を受けた後、高リスクの浸潤腺がんと分かり、再手術を提案された40歳女性に、がん研有明病院の元婦人科部長、瀧澤憲医師が答えます。

――子宮頸部上皮内腺がんと診断され、今年2月に単純子宮全摘術を受けました。しかし摘出した子宮の病理検査で、子宮頸部に縦方向11ミリ、頸部筋層深部に4ミリの浸潤が見つかり、ⅠA2期の「初期浸潤腺がん」との診断に改められました。主治医に再手術を勧められています。再発を極力回避したいという思いはありますが、どのような再手術になるのか不安です。

「まず、術後に診断されたというⅠA2期の初期浸潤腺がんの手術方法について説明します。通常は、子宮頸部の周囲組織や膣(ちつ)壁も1センチくらい切除しながら子宮を摘出します。これは準広汎子宮全摘術という術式です。その際、尿管を傷つけないように、膀胱(ぼうこう)侵入部付近で尿管を露出させながら手術を進めます。原則として、両側の卵巣・卵管の切除や骨盤リンパ節郭清術も行います」

――つまり再手術するとなれば、膣壁の追加切除が必要なのでしょうか。

「相談者の初回の手術は、準広汎よりも切除範囲が狭い単純子宮全摘術でした。上皮内腺がんの診断のためのものだったのだと思います。どこまで初回に切除したかを執刀医に確認しなければなりませんが、それでもおそらく頸部の周囲組織や膣壁も少なくとも数ミリ以上は子宮と一緒に切除している可能性があります。そうであれば、ⅠA2期の初期がんでの膣壁の追加切除の必要性は慎重に判断します」

「今回とは異なりますが、子宮筋腫などの良性疾患で子宮摘出後に、例えばⅠB期の浸潤がんと分かった場合は、膣とその周囲組織を余裕をもって切除するか、それができない場合は放射線治療を行います」

――両側卵巣・卵管切除や骨盤リンパ節郭清は必要ですか。

「頸部腺がんⅠ期の場合の卵巣転移の確率は約2%、骨盤リンパ節転移の確率は10%くらいです。もし2月の手術後の病理検査で脈管侵襲陽性(がん近傍のリンパ管や毛細血管内にがん細胞が侵入している状態)なら、確率が高くなるので主治医に確認しましょう」

「膣壁の追加切除は慎重に判断すべきだと言いましたが、再発防止を強く望むのであれば、両側卵巣・卵管切除は行ってもいいと思います。技術的に容易でホルモン補充を行うことで後遺症を回避できます。これに対し、骨盤リンパ節郭清はやや難易度が高く、手術時間や出血量、術後の両下肢のリンパ浮腫の程度が執刀医の技量によって変わります。それでも再発防止のためにということなら、郭清するのも一つの手です」

――再手術を受けない場合はどうなりますか。

「子宮頸部周囲組織や脈管侵襲などの病理所見を主治医によく検討してもらい、再発リスクが5%未満と判断されれば、2~3年間、MRIによる検査を半年ごとに受けて経過を観察することになるでしょう」

「がん電話相談」(がん研究会、アフラック、産経新聞社の協力)は毎週月~木曜日(祝日・振替休日を除く)午前11時~午後3時に実施しています。電話は03・5531・0110、03・5531・0133。がん電話相談はお盆休みです。19日に再開します。相談はカウンセラーが無料で受け付けます。相談内容を医師が検討し、産経紙面やデジタル版に匿名で掲載されることがあります。個人情報は厳守します。

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