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マイコプラズマ肺炎が過去10年で最多ペース、昨年同期の57倍 コロナ明けで感染拡大か

産経ニュース / 2024年8月22日 12時19分

潜伏期間が長く、感染自覚がないまま広げるため「歩く肺炎」と呼ばれるマイコプラズマ肺炎の患者が急増している。国立感染症研究所が20日、発表した速報値(8月5~11日)によると、1医療機関あたりの患者の報告数(全国平均)は1・14人と6週連続で増加。昨年同時期の57倍で、過去10年で最多ペースとなった。専門家は「新型コロナウイルス対策で抑えられていたが、ノーマスクになってきて流行につながったのではないか」と注意を呼び掛ける。

しつこい咳が特徴

マイコプラズマ肺炎は、主に飛沫や接触で広がるとされ、発熱や咳、倦怠感など風邪に似た症状を引き起こす。患者の約8割が14歳以下とされるが、大人の感染例もある。比較的軽症で済む人が多いが、しつこい咳が特徴で、重症化する場合もある。潜伏期間が2~3週間と比較的長く、自然治癒することも多いため、感染に気づかず出歩き、周囲にうつしてしまう恐れがあるため「歩く肺炎」ともいわれる。

今年の流行拡大について、帝京大大学院教授で小児科医の高橋謙造氏は、「5月の連休前から、小児というより思春期の中学生らの感染者が目立ってきた」と感触を話す。症状としては「咳と発熱で、コロナ感染と思ったものの、解熱傾向が見られないため受診するケースが多い。肺炎というより気管支肺炎レベル。あるいは軽度の発熱の後に咳がひどくなり、家族に広がったパターンもある」としている。

マイコプラズマ肺炎は、世界的に3~7年周期で感染拡大が見られ「オリンピックの年に流行する」ともいわれるが、コロナ期間を通じ、流行はみられなかった。高橋教授は今年のマイコプラズマ肺炎の感染拡大の背景に、コロナ対策があったと分析。「徹底したコロナ対策により、マイコの流行がなかったことで、地域全体としての免疫が下がった。さらに昨年のコロナ5類移行後、ノーマスクが定着したところにマイコ感染が持ち込まれ、今の流行につながったのではないか。引き続き予防を心がけてほしい」と話す。

抗生剤不足も課題

予防としてはマスク、手洗い、アルコール消毒などコロナ向けの対策で十分とされ、治療に関しては「自然治癒を待つことも可能だが、発熱が持続する場合、抗生剤が必要。本来はマクロライド系の抗生剤が効くはずだが、最近は耐性菌が出て、ニューキノロン、テトラサイクリン系を使用しないと十分に解熱に持ち込めないケースもある」(高橋教授)としている。しかし昨年夏以降、抗生剤の供給不足が続いており、薬局間で抗生剤を融通し合うケースもあるという。

高橋教授によると、抗生剤は咳対策には十分な効果が期待できないため、「本当に必要な患者に処方できない事態を避けるため、〝念のため処方〟は避けてほしい」と医療関係者にも注意を促している。

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