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血糖値異常が認知機能に影響…高血糖だけでなく低血糖も要注意 健康カフェ(274)

産経ニュース / 2024年6月20日 9時0分

多くの人が長生きする時代になり、80歳を超えても元気な人は珍しくなくなりました。私の外来には90歳を超えても1人で歩いてやってくる方が何人もいます。通院しているくらいですから何かしらの病気は持っていますし、足腰の痛みや疲れやすさなどを口にはしますが、だいたい姿勢が良く、見た目も実年齢よりずっと若く見えます。診察のときも興味を持っていることを話してくださり、認知機能の衰えもあまり感じさせません。その中の一人である90代半ばの男性は退職後も長らく趣味にしてきた釣りを続け、各地をめぐっていたそうです。さすがに何年か前から釣りに行くことはなくなりましたが、散歩と読書を日課としているそうです。

いつまでも元気な高齢者がたくさんいる一方で、さまざまな病気や障害のある高齢者もいます。特に認知症は大きな問題になっており、厚生労働省の推計では、近い将来、65歳以上の3人に1人が認知症か、その前段階の状態の「MCI(軽度認知障害)」になるそうです。飲酒、喫煙、高血圧などのほか、血糖値の異常も認知機能に影響を与えるとされています。糖尿病があると、アルツハイマー病も脳血管性認知症もともに発症が多くなるともいわれています。このように認知症を糖を中心とした代謝異常と捉えることもできるため、最近ではアルツハイマー型認知症を3型糖尿病と呼ぶ科学者も一部にいるくらいです。

高血糖だけではなく低血糖も認知症を増やしてしまう可能性が指摘されています。重症の低血糖を経験すればするほど認知症の発症が増えると報告されています。糖尿病の治療薬でも、インスリン分泌を強力に促す旧来の薬は脳梗塞や認知症の発症を増やすとされています。ただし糖尿病の治療薬で認知症を減らす可能性のあるものもあります。

メトホルミンという以前から使われている薬は認知症の発症を減らすという報告が複数あります。心血管疾患や慢性腎臓病のリスク低減に効果がある「SGLT2阻害薬」や「GLP-1受容体作動薬」は認知症の発症も抑える可能性が報告されるようになっており、今後の研究結果に期待が持たれています。もちろん糖尿病を避けるだけでは認知症の予防として十分とはいえません。適正飲酒や鬱病の管理なども行い、生きがいを持って、楽しく生活するように心がけるとよいと思います。(しもじま内科クリニック院長 下島和弥)

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