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昭和の家族小説が書店を席巻、青磁が映す人間模様 <話題の本>『青い壺』有吉佐和子著

産経ニュース / 2025年1月12日 8時0分

『青い壺』有吉佐和子著(文春文庫・781円)

認知症を扱った先駆的小説『恍惚(こうこつ)の人』や環境問題を取り上げた『複合汚染』など骨太の作品をものした昭和の作家、有吉佐和子。令和の今、近年まで〝知られざる有吉作品〟だった本作が書店を席巻している。

昭和52年に単行本が刊行された本作は、現代の無名の陶芸家が作った美しい青磁の壺を巡る連作短編集。壺は人から人へとわたるうち、空き巣に盗まれて骨董(こっとう)市で3000円でたたき売られたり、スペインに帰郷する修道女への土産になったり。壺の流転とともに描かれるさまざまな夫婦や親子の人間模様は、さながら壺の磁肌が映す群像劇といった趣だ。

ただ知名度は今ひとつで、有吉の没後は絶版になっていた。文芸春秋社の資料室で手に取った文春文庫編集部の山口由紀子さんが「いろんな家族の話がちりばめられた、宝箱のような作品」とほれ込み、平成23年に新装版で復刊。令和4年には「こんな小説を書くのが私の夢です」という作家の原田ひ香さんの帯文が話題を呼び、昨年11月にNHKニュースで特集が組まれるほどの売れ行きに。さらに重版がかかり、今月7日現在で累計64万部に達した。

「改めて小説の持つ力を感じた」と山口さん。年を重ねてなお輝く有吉文学の真骨頂だ。(村嶋和樹)

『青い壺』有吉佐和子著(文春文庫・781円)

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