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大岡読書倶楽部 美村里江のミゴコロ

産経ニュース / 2024年7月26日 12時56分

美村里江さん

読書はいい。

何度も実感していることだが、今回「大岡越前」の撮影現場にて、本好きのキャスト・スタッフで情報交換してつくづくそう思った。

きっかけは、私が演じる雪絵の息子・求次郎役である柊木陽太(ひいらぎ・ひなた)君が、いつも現場で文庫本を読んでいたからだ。そこからプロデューサーが「美村さんはすごくたくさん読むんだよ」と話してくださり、柊木君に「オススメ本を教えてください」と尋ねられたことで、私もいよいようれしくなってしまった。

事前に柊木君の本棚の写真を見せてくれたので、最近何を読んでいるかを追加で聞いて、「リスト作ってくるね」と約束した。

そうして渡したのはA4用紙1枚。実は作成時、あれもこれもと書いていて気づいたら2枚半に及び、さすがに多すぎると削った凝縮版だ。本棚に海外作品が少なかったのでその系列と、今後時代劇を演じる上で役立ちそうな、所作や歴史を楽しく学べる解説本類も入れた。

読書好きの人は経験があるだろう。オススメを尋ねられ、その人に合いそうなものを一生懸命考えて伝えるも、大体の人は読まない。悪意はなく、本当に読もうと思っていても、習慣のない人には本を読み始めることはある種、重労働なのだと理解している。

それでも、オススメした数日後にもう読み出してくれていると、やはりとてもうれしい。

そんな柊木君の読書家ぶりのおかげで、スタッフ・キャスト間でもオススメ本の情報が盛んに行き交った。

私がこの期間中特に面白く読んだのは、泉ゆたかさん『髪結百花』(見たことのない結髪の造形美を想像し、時代性を含むシスターフッドにしんみり)。百田尚樹さん『影法師』(「彦四郎―!」と頽(くずお)れずにはいられないラスト、演じられる役者は誰か本気でキャスティングを熟考)など。

あとは柊木君オススメの安東みきえさん『頭のうちどころが悪かった熊の話』も、ひねりの利いた軽やかな寓話が楽しく、読了後すぐにスタッフMさんへ譲渡。

ワイワイと本の感想を話し合いながら、「寺田農さんがご存命なら、さらにたくさんオススメ本を聞けたのにね」と追悼し、先輩方の知恵を引き継ぎたい思いも再燃する。

読書は生涯続けていくが、現場経験と同じく、いくら学んでも一生学び足りないのだ。

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