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<書評>『人魚が逃げた』青山美智子著

産経ニュース / 2025年1月5日 8時0分

「僕の人魚が、いなくなってしまって…逃げたんだ」―。東京・銀座の歩行者天国で、「王子」と名乗る青年が謎の言葉を語る。人魚を巡る騒動と、人生の岐路に立つ男女5人の運命を交錯させたスリリングな連作短編集。

5人は、12歳年上の女性と交際中の会社員、海外に娘を送り出す主婦、絵画収集にのめり込んで離婚されたコレクター、文学賞の選考結果を待つ作家、過去の失恋を引きずる高級クラブのママ。アンデルセン童話「人魚姫」に着想を得た物語は奥深い。随所の仕掛けも楽しめる。昨年まで4年連続、本屋大賞ノミネートの人気ぶりも納得。(PHP研究所・1760円)

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