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日本の「海底空母」、パナマ運河を爆砕せよ 『伊400型潜水艦』 「丸」編集部編 〈産経BOOKS〉

産経ニュース / 2024年11月24日 5時30分

『伊400型潜水艦』「丸」編集部編(潮書房光人新社・3300円)パナマ運河を爆砕せよ-。先の大戦終盤、米軍の戦略物資と艦隊兵力の要路を攻撃する極秘任務を帯びたのは、当時としては世界最大の潜水艦「伊400型」。米本土東岸への往復攻撃も可能な〝海底空母〟だった。本書はその全貌に迫った一冊だ。

日本の潜水艦は、排水量によって伊・呂・波の3つのレベルに分類される。最も大きい伊号潜水艦は全長平均約100メートル。その中でも伊400型は122メートルとひと回り大きかった。最大の特徴は水上攻撃機3機を格納したこと。隠密裏に敵の要衝に接近し空襲を加える運用は、戦後の戦略型原子力潜水艦の先駆けになった。

極秘任務はもともと山本五十六連合艦隊司令長官の発想とされ、当初は真珠湾攻撃後に米本土の急所をたたき、同国内の厭戦(えんせん)機運を高めることで対日戦を早期和平に導く狙いがあった。だが艦が完成した昭和19年12月の戦況は極度に悪化。補給路攻撃より敵への直接的打撃を優先、攻撃目標はパナマ運河から米空母が集まる西太平洋のウルシー環礁に変更された。20年7月に出撃したが、同海域に到着する前に日本が降伏した。

本書は米海軍が同艦を鹵獲(ろかく)直後に撮影した迫力ある写真を収録。艦長が米軍士官と交渉する様子からは、ただならぬ緊迫感が伝わる。(つ)

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