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<ビブリオエッセー>必要なのは変わる勇気  「ヅカメン! お父ちゃんたちの宝塚」宮津大蔵(祥伝社文庫)

産経ニュース / 2024年6月26日 12時18分

「多々良君は、宝塚は観るのかね」。阪急電鉄の定年退職を間近に控えた多々良源蔵はある日、役員室に呼ばれ、宝塚歌劇団の「生徒監」を打診された。一度も観たことはないのに…。

タカラヅカを舞台にした小説『ヅカメン!』は初めての経験に戸惑う男たちが登場する。大道具やプロデューサー、演出家や家族…。舞台を支える男たちを主人公にタカラジェンヌたちの成長や決断を描いた7つの物語だ。

「女性だけで演じるミュージカルなんて言っちゃ悪いが、女子どもが観るもので、レベルは大したことのないものに決まっている」。こんな偏見を持って異動で渋々やってきたヅカメンもいた。源蔵は不安ながらも引き受け、月組のお世話をする生徒監、通称「お父ちゃん」になる。やがて男たちはひたむきに頑張るタカラジェンヌや宝塚音楽学校生、周囲の人たちや熱心なファンの姿に気持ちを改め、舞台を作る魅力を知り、本気で取り組んでいく。

私も初めて観た時、「女性の演じる男役か」とあまり期待はしなかったが見終わる頃にはカッコよさに圧倒されていた。その後は大学でもタカラヅカの講座を受講するほど魅了されたひとりだ。実は高校時代は演劇科で学び、舞台に立ち、歌う練習を続けた。将来は表現に関わる仕事に就ければと考えている。

だから今のタカラヅカが残念でならない。清く正しくはどこへ? 再開された公演も確かにもやもやが残る。『ヅカメン!』にも上下関係や規律のことが書かれていた。礼儀は大切だし舞台にのぞむ厳しさも避けられないが、今回の問題に「伝統」の言い訳は通用しない。

変わるべきとき柔軟に対応する。求められているのは変わる勇気だと思った。

神戸市東灘区 山下知恵(20)

投稿はペンネーム可。650字程度で住所、氏名、年齢と電話番号を明記し、〒556-8661 産経新聞「ビブリオエッセー」事務局まで。メールはbiblio@sankei.co.jp。題材となる本は流通している書籍に限り、絵本や漫画も含みます。採用の方のみ連絡、原稿は返却しません。二重投稿はお断りします。

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