東大・京大生協でも大ヒット、論文執筆の指南書 人文学復権へののろしに <話題の本>『まったく新しいアカデミック・ライティングの教科書』(光文社)
産経ニュース / 2024年9月15日 9時20分
自分の学生時代にこの本があれば―。そんなため息があちこちから聞こえてきそうな、人文系の論文執筆を一新する指南書が登場した。
自然科学系と異なり、決まったフォーマットが確立されていない人文系の論文。日本の大学教育では執筆の方法論がカリキュラム化されておらず、アカデミックな価値に疑問符が付くこともしばしばだ。日本だけでなく英語圏の学術誌に論文を書いてきた著者が、初学者でも独力で論文を書ける知識と技術を伝授する。
「問いとそれに対する答え」という既存の論文観から脱却し、自分のアーギュメント(主張)を徹底的に鍛えあげ、先行研究を批判的に更新していくこと。具体例に即して展開される著者の主張もまた明快だ。
光文社書籍編集部の江口裕太さんによると、「長く大学で読まれる定番のロングセラー」を目指したという。だが、発売1カ月余りで5刷2万5千部といきなりの大ヒット。東大・京大生協でも人文書部門で売り上げ1位に輝き、学生たちから圧倒的な支持を受けている。
自身の研究生活を振り返り、人文系の論文執筆は「世界と接続されている」と高らかに宣言した著者。人文学復権に向けたのろしが上がった。(村嶋和樹)
『まったく新しいアカデミック・ライティングの教科書』阿部幸大著(光文社・1980円)
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