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最大級の学生街、早稲田からついに書店消える 早大生も落胆「出版物売る所もなくなった」

産経ニュース / 2024年8月16日 15時13分

文禄堂早稲田店の外観

日本最大規模の学生街、東京・早稲田から一般書店が姿を消すことになった。電子書籍やネット通販の普及の波にあらがえず、唯一残っていた文禄堂早稲田店(東京都新宿区)が9月16日で閉店することが今月初旬に告知された。同店では早稲田大学の出版サークルの刊行物を取り扱っていたこともあり、早大生の間では落胆の声も広がる。都の西北でさまざまな発見を提供してきた「知の拠点」の喪失は、近隣の学校や会社に通う多くの人に少なからず影響を与えそうだ。

35年の歴史に幕

東京メトロ東西線の早稲田駅前にある同店は、前身の「あゆみBOOKS早稲田店」として平成元年にオープンした。30年12月には、江戸時代に日本橋東中通で栄えた「書肆文禄堂」に由来する現店名でリニューアルオープン。45坪の店内では、早大に縁のある著者や作家を招いたイベントを開催するなど、早大だけでなく近隣の早稲田中学や高校の生徒ともコミュニケーションを図れる店舗運営を心掛けてきた。

しかし、近年のデジタル化の進展による出版業界の構造不況は、小規模な街の本屋ほど受けるダメージが大きい。同店の閉店理由について、運営するNICリテールズは「(同店は)売上高の減少率が高い不採算店舗になっており、撤退することで業績改善を図る経営判断だった」と説明。新型コロナウイルス禍で遠のいた客足も戻らず、35年間にわたり早稲田の学生と歩んできた小さな書店は静かに幕を下ろすことが決まった。

学生の出版活動にも影響

同店では、早大の出版サークルの刊行物も多く取り扱っており、発行側と購入側双方の早大生から閉店を惜しむ声が聞かれた。

特に早大の授業やサークルのレビューなどを細かくまとめた「マイルストーン編集会」による情報誌「Milestone Express」は、ベストセラーとして同店で長く販売されてきた。早大4年生の庄司桜子さん(21)は、「閉店は本当に困る。大学周辺で新書や雑誌が買える所がなくなるので、今後はどこで買おうか…」と困惑した様子だった。

また、合格体験記などを掲載した早大受験生向けの情報誌「早稲田魂」を発行する「ザ・ワセダ・ガーディアン(早稲田大学英字新聞会)」所属の早大4年生、秋吉穣さん(23)は、「閉店はサークルの出版活動に影響するだけに、困っている」と心境を吐露。1年間で発行する約1500部のうち、約200~300部を同書店で販売していただけに「一番の販売拠点がなくなるのは本当にショックだ」と頭を抱える。今後は同店で販売していた分を、JR山手線の高田馬場駅周辺の書店での販売に切り替えてもらえるよう交渉を進めるという。

ただ、早稲田周辺よりにぎわいのある高田馬場であっても、近年は老舗の芳林堂書店が破産し、書店チェーンのブックファーストの店舗が閉店に追い込まれるなど書店を取り巻く環境は厳しい。好転の兆しが見えない中、学生の出版活動の継続に向けては不安が拭えない日々が続きそうだ。

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