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東京科学大、国立大で異例の理事長職設置へ 東工大の大竹教授が就任「文化の違い理解」

産経ニュース / 2024年6月24日 19時30分

東京工業大と東京医科歯科大は24日、10月1日に統合し、新たな国立大として発足する「東京科学大」で経営を担う法人トップとなる理事長候補に選ばれた大竹尚登(なおと)東工大教授(60)が記者会見し、所信を表明した。学長が経営と教育研究(教学)の長を兼ねるのが一般的な国立大で理事長職の設置は異例。経営を教学と分離し、文化の異なる2つの大学の統合効果を高める狙いがある。

次世代の国立大の「試金石」に

「両大学の文化の違いを理解することが大事だ。違う部分を違う良さとしてどう生かしていけるかを考えていきたい」。会見に臨んだ大竹氏は、理事長として果たすべき役割をこう語った。

文部科学省によると、名古屋大と岐阜大を傘下に持つ東海国立大学機構など複数の大学を運営する国立大学法人に理事長職が置かれた例はあるが、単一の国立大は初めて。教学を主導する学長(大学総括理事)も設け、医科歯科大の田中雄二郎学長が選出される見通しだという。

大竹氏は今後、文部科学相の承認手続きを経て就任することになる。

新大学は大学院生が約7000人となり、約6000人の学部生を上回る研究中心の大学となり、若手研究者が新分野の研究に挑戦できる環境づくりを目指す。産業を生み出す場となる「新産業創成研究院」も設置。予算規模の約3分の1は大学病院が占め、統合の目玉となる「医工連携」の中核となる。法人トップにはさまざまな学内組織の調整に向けたかじ取りをこなす役割が求められる。

私立大では、東京科学大のように、経営を理事長が担い、教学を学長が受け持つ体制が一般的。理事長には資金集めなど法人全般のマネジメントが期待され、学長には教育力や研究開発力の向上などにリーダーシップが要求される。役割を分担することで効率的な組織運営を可能としている。

権力の集中を避けることで、不正行為の抑制などガバナンス(組織統治)強化も期待できる。

一方、平成16年に法人化された国立大は組織の意思決定が重視されるようになり、学長が法人と教学の長を兼ねている。

1つの国立大学法人が複数の大学を運営する場合を想定し、政府は令和元年に国立大学法人法を改正。学長にあたる「大学総括理事」を設置できるようにし、理事長職を設けて経営と教学の分離を可能にした。東京科学大の新体制も、その制度を活用したものだ。

少子化への対処や国際競争の激化、ガバナンス強化など時代情勢の変化に応じ、各大学が独自の戦略を模索している。東京科学大は国が10兆円規模の基金により財政支援する「国際卓越研究大学」制度の認定を目指す方針で、新体制は次世代の国立大の在り方を占う試金石ともなりそうだ。

「今も未来も大切にした強い大学に」

「東京医科歯科大は今日の命をどう助けるのかが、東京工業大は数十年先の産業を生むことが、それぞれの使命だ」。東京科学大の理事長に就任予定の大竹尚登氏は記者会見で統合する2つの大学の特徴をこう語り、「統合で今も未来も大切にした強い大学になれる」と抱負を述べた。

大竹氏は神奈川県出身。東工大大学院を経て、平成22年から東工大教授。研究推進担当の副学長などを歴任し、令和4年から科学技術創成研究院長を務めている。

専攻は機械材料学。ダイヤモンドをメタンなどの気体からつくる研究を手掛けてきた。民間企業とベンチャーの立ち上げや、戦略素材を巡る国際交渉をリードするなど実務にもたけており、24日の会見でも報道陣の質問にてきぱきと応じる姿が印象的だった。「若手の研究者がゆっくりテーマを考える時間をつくりたい」と展望も語った。

趣味はサイクリング。名古屋から東京まで自転車でほぼ走破したことも。文系にも関心が深く、米国の哲学者、ハンナ・アーレントの「人間の条件」を愛読しているという。(玉崎栄次)

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