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科目構成は維持、教員の負担軽減図り「脱ゆとり路線」も継続 学習指導要領改定諮問

産経ニュース / 2024年12月25日 20時49分

八木秀次氏

25日に諮問された学習指導要領の改定では、前回の改定で近現代史を複眼的に捉える「歴史総合」が新設されるなど大幅に変わった科目構成は維持される見通しだ。多忙化する教員の負担軽減策を図るものの、年間の授業時間は大きく変えない。「脱ゆとり路線」も継続する方向だ。

諮問では、前回の改定で注目された地理歴史科目の新設や小学3年生からの外国語活動などの科目構成について「一層の定着を図る」とした。大枠を変えない中での改善を求める。

小学校からの英語教育の拡充などについては、国語教育への影響を懸念する声もあった。だが国語の授業時数は改定前後で変わっていない。「近年の国語力の低下と直接的な関係はない」(学校関係者)とされる。また、スマートフォンなどで手軽に翻訳が可能になる中で、外国語を学ぶ意義についても議論を求めた。

こうした科目数の増加が教員の負担増になっている面もあり、「過度な負担や負担感が生じにくい」働き方の方策を求めている。その方策のために年間の標準総授業時数を減らすことは想定しておらず、「現在以上に増加させないことを前提」と言及するにとどめている。1コマの授業時間を5分短縮する教育課程の柔軟化を巡っても、教員の働き方改革につなげられないかを模索する動きがある。ただ、文部科学省幹部は「先生の負担を減らすために子供の学びをやせ細させるという発想はない。働き方改革とは峻別していく」とする。

平成10年に改定された学習指導要領では、各学校が「ゆとり教育」を実施するため、標準授業時数(コマ数)を年間約70縮減。児童生徒の学力低下を招き、批判を浴びたことで、平成20年の改定では「脱ゆとり」を掲げてコマ数を35増やすなどした。平成29年の改定でさらに35増やすなどした経緯があり、今回はこれ以上増やさない方針だ。(楠城泰介)

麗澤大学教授 八木秀次さんの話「政治情勢の影響を注視」

前回の平成26年の諮問は、安倍晋三政権時だった。首相の私的諮問機関の教育再生実行会議と中央教育審議会(中教審)が相談しながら政治主導で進めた面もある。道徳の教科化や地理歴史科の探究学習、英語教育の充実など多くの教科が再編されたのはその成果だ。

これまでにない大きな教育方針の変更だったが、今回の諮問で方向性が維持されることは評価したい。ただ、現行の学習指導要領の柱で、児童生徒の能動的な取り組みを求める「主体的・対話的で深い学び」の観点からは、現場で児童生徒に向き合う教師の質の向上がさらに求められる。

GIGAスクール構想により、1人1台端末の環境は整ったが、どう活用していくかは、人工知能(AI)をはじめとしたデジタル環境の変化に伴い難しくなる。学習量を減らさずに、標準授業時数の裁量を学校側に持たせることは、探究心を養う上でも必要だろう。現行の趣旨をさらに深掘りし、徹底すべきだ。

自民党が少数与党になり政治情勢の変化がこれからの中教審の議論に影響しないか注視したい。(談)

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