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リアル中学受験 「グラスの周りに水滴がつくのはなぜか」説明できる親になりたい  リアル中学受験-わが家の場合

産経ニュース / 2024年6月21日 13時0分

中学受験でも各校の過去問を集めた「赤本」は必需品だ

「復習が大事」とは言うが

「親は教えないでほしい」。その言葉に反発して退塾を告げたものの、その後のことは何も決まっていませんでした。インターネットなどを頼りに他塾を探しても、しっくりくるところはなく、このまま本当に塾なしで受験に突入するかもと思ったときでした。家の近所に有名な国語塾があることを知ったのです。

その先生に相談すると、「同じように途中で塾を辞めた子はたくさんいる」とのこと。さらに国語だけでなく他の教科の先生も週一程度で授業を担当しており、国社、算理などに分けると週2日の通塾で済むスケジュールです。これは魅力的でした。以前の塾は週3回、6年生になると4回の週もあります。しかも家から30分程度はかかっていたため、通うだけで疲れていた様子もありました。空いた日はこれまで出来なかった復習に使ったほうがよいとも考えました。

よく塾では「復習が大事」「基礎を繰り返せ」などと言いますが、結局は塾に通うことが目的になり、復習の時間など取れなくなるのが現実です。娘も納得して「方針変更」を受け入れました。ただ、子供なりに思うことや塾の友達のこともあったのでしょう。最後に塾から出てきたときは泣き顔でした。親としても、もう後には引き返せないという思いを強くしました。

知的好奇心くすぐる中学受験

前回も少し触れましたが、「教える」のではなく、「一緒に勉強する」とは、どういうことでしょうか。これはやってみればわかりますが、「教える」にしても、そもそも親に基礎知識がない。単にテキストを見てわかったような気になっても、付け焼刃なのですぐに忘れてしまいます。「子供と同レベル」になるだけでも、親は子供以上にじっくり考えなければならないのです。

そのためには多少なりとも子供より先回りした予習が必要で、根本的になぜそうなるのかを理解することが肝心です。ただ、これが意外と楽しくなってくるのです。

典型的なのが理科だと思います。最初はとっつきにくいですが、テキストなどを見ているうちに少しずつ興味が沸いてきます。例えば、なぜグラスの周りに水滴がつくのか、風はなぜ吹くのか、天気はなぜ西から下り坂なのか…。小学生の時はほとんど興味のなかった科学の知識が、だんだんと面白く感じてしまう。以前、学研が大人向けの「科学」と「学習」を出版したらヒットしたという話がありましたが、大人から見ると子供の頃の勉強があらためて知的好奇心をくすぐることもあるのです。これは、算数を担当した妻も同じように感じていたようで、わが家は「中学受験勉強」一色に染まっていきました。

「なぜグラスの周りに水滴がつくのか」「なぜ旅人算は距離を速さの差で割るのか」。それらを親が説明できてこそ、初めて子供と受験そのものについて語り合えるのではないかとも思いました。

娘も素直について来たのは、やはり塾の時間を減らして余裕ができたことが大きかったのかもしれません。親も平日はなかなか忙しいですが、これにほぼ連日塾があると、親子が接する時間はますます減ってしまいます。我が家では平日は妻が算数を、週末は私が理科、社会を、国語は当面塾に任せるというすみ分けで進めました。

その結果、娘の成績が伸びない理由が何となく明らかになりまた。やはり基礎ができていなかったのです。親自身もゼロから勉強しながら、「なぜそうなるのか」を一緒に考えているため、子供が「本当にわかっているのか」「わかったような気がしているのではないか」、つまり基礎ができているのか、いないのかがよく見えてくるのです。

これは大人数の教室で先生が気づいてくれるというものでは決してありません。仮に模試の結果が良くても、たまたまなのか、本当に伸びているのかも一緒に勉強している親にしかわからないと思います。

立ち止まれたことはよかった

成績はその後急激に伸びたというわけではないですが、秋口の模試以降は四谷大塚で偏差値60台に乗るようになりました。結果的には志望校だった偏差値61の女子中に合格しました。早慶上智それぞれに毎年3ケタが合格しており、娘も今はその大学の一人として楽しく学生生活を送っています。塾を辞めて泣いたことなどもう忘れていると思います。

もちろん、塾をどう考えるかは各家庭次第です。親が何もしなくても、塾で勝手に伸びる子もいるでしょう。親が介入することで反抗する子もいるでしょうし、塾そのものが楽しくて通っている子もいるでしょう。

ただ、塾の先生との付き合いは2月に受験校へ送り出すところまでで終わりです。最後の最後まで子供に責任を持たなければならないのは親だけなのです。

振り返ってみれば、通塾していた塾がよくなかったというよりも、あのまま通い続けていたら、早いスピードで6年生の単元は進んでいき、立ち止まる間も、復習する間もないまま受験期を迎えていたような気がします。

この後も、下の娘を含め受験本番まではさまざまな紆余曲折がありましたが、それはまたいずれ。

真砂町小町(2女の父、会社員)

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