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医学部専門予備校に学ぶ中学受験 できない子を集めて驚異的な実績出す作戦とは 桜井信一 桜井信一の攻める中学受験

産経ニュース / 2024年6月29日 10時0分

ohayou/イメージマート

今回は非常に高い合格実績を叩き出す、ある医学部専門予備校の戦略をご紹介します。中学受験にも通ずる話ですので、読んでください。

まず、ご存知かとは思いますが医学部の受験科目を説明します。殆どの場合、英語・数学・化学・物理(または生物選択)この3教科4科目が国公立の二次試験、または私立の一次試験となります。

予備校には各科目に専任の講師がいるわけですから、英語の講師は何とか自分が担当しているクラスの生徒たちに英語を頑張ってもらいたい。英単語は毎日200個、長文は3本和訳してきてほしい。時間があれば英文法も100ずつ流してほしい。

数学の講師も同じです。渡したプリントは3日以内に提出してほしい。出してきてくれた生徒から順に添削して返却したい。

物理の講師もそう、化学の講師もそう、みんな競って大量の課題を出すのです。

この競争、生徒にとって良いことでしょうか?

例えば、英語の課題が多すぎて数学や理科の勉強時間が取れない。英数は何とかこなせるけど、物理や化学が後回しになる、心配なのは自分もよくわかっているけれど、英語が苦手なのでそちらが優先のような気がする。

これは中学受験塾も同じ。各教科の講師が自分の教える科目の成績を上げようと頑張っているのです。

ところが、年間授業料が600万円なんて話もザラという医学部専門予備校は違います。どの程度英語が苦手かという判断は講師側がするのです。正確にいうと「講師たち」がするのです。

4科目の講師、校舎長、教務が集まり、生徒ごとに学力と勉強の進捗状況を確認します。いま何を優先すべきかをミーティングし、偏りを考えながらに課題を出します。つまり、英語はこれだけにしよう、数学はこれだけ、物理、化学もこれだけと講師側が決める。

いや、英語はこのままでは間に合わないからもう少し時間を割いてほしいと英語講師が要望すると、数学の講師がしばらくは少し演習量を減らせるか頭を悩ませるのです。

生徒の毎日の勉強のバランスを講師側が考えることにより、苦手科目を克服する学習ではなく、受験に合格する学習に持っていく。この講師側ミーティングをかなり細かく行っているのです。

医学部専門予備校は1つの校舎に50人か100人の生徒しかいません。しかも、中学受験塾のように、ある程度生徒を集めたら勝手に優秀な子が取り込める仕組みになっていません。むしろ、できないで困っている厄介な生徒ばかりなのです。

その小集団から驚異的な合格実績を叩き出さないと翌年に生徒は集まりません。完全に下剋上受験になっています。だからこそ何とか合格させるための方法を練りに練る。中学受験塾のように生徒集めに必死になる手段を取らないのです。

そんなことしなくても、できない生徒は絶対に受からせてくれる医学部専門予備校を必死に探してたどり着いてくれます。だからうまい、いいところを突くなあと思います。

中学受験でこの方法を取ると費用対効果という問題もあるでしょう。しかし、志望校に合格したい気持ちは医学部の生徒たちと同じはず。塾ではそこまでできないから親がこの役を買って出ないといけないと思うのです。

好評配信中です。

筆者紹介

桜井信一(さくらい・しんいち) 昭和43年生まれ。中卒の両親のもとで育ち、自らも中卒になる。進学塾では娘の下剋上は難しいと判断、一念発起して小5の勉強からやり直し、娘のために「親塾」を決意。最難関中学を二人三脚で目指した結果、自身も劇的に算数や国語ができるようになる。現在は中学受験ブログ「父娘の記念受験」を主宰、有料オンライン講義「下剋上受験塾」を配信中。著書に、テレビドラマ化されたベストセラー『下剋上受験』をはじめ、『桜井さん、うちの子受かりますか』、馬淵教室と共著の『下剋上算数』『下剋上算数難関編』などがある。

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