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磨け商魂「高校生株式会社」 大阪府立高4校がタッグし防災グッズ開発、経営から学び

産経ニュース / 2024年10月30日 12時0分

高校で株式会社を設立し、生徒が経営に参加し、ビジネスを学ぶ「高校内株式会社」が全国で広がるなか、大阪府立の4高校が合同で設立した株式会社が今年度から本格始動、防災をテーマとした商品開発を進めている。商業高校単独での取り組みは多い「高校内株式会社」だが、工業系や美術系の高校を巻き込んだ複数校での設立は全国初といい、関係者は「リアルの経営から学ぶことは多い」と期待を寄せる。

「防災用備蓄パンはいかがですか、5年間保存できますよ」

8月下旬、大阪府八尾市の商業施設で、府立住吉商業高校の生徒たちが即売会を開いた。来店者へ購入を呼びかける生徒たちは「AKINDO SPARKLE(アキンド・スパークル)株式会社」の〝社員〟だ。

住吉商業、淀商業、工芸、東淀工業の府立高4校で今年2月に設立した高校内株式会社で、4校の生徒約50人が中心となり、生徒代表社長や社員として防災をテーマに商品開発に取り組む。

住吉商の生徒代表社長で3年生の羽川香哉(かや)さん(18)は起業に興味があり「高校生のうちに経験を積めるのは貴重。無駄にしたくない」と目を輝かせる。

会社設立にあたり、各校がイベントへの物品販売などで得た収入や企業協賛金を充て資本金50万円を用意。行政書士に定款作成を学び、生徒主体で法人登記も行い、「より責任感が増した。他校の仲間にも刺激をもらっている」と喜ぶ。

同商の瀧本寛人教諭によると、住吉商が営業部隊として協賛企業との交渉や、地域の自治会やイベントなどへ商品の売り込みを担当。美術系コースがある工芸は企業ロゴを考案するというように作業を分担、専門学科各校の持つ強みを生かした活動を行っている。

同社が第1弾の商品として手掛けた備蓄用パンは地元企業と連携し、生徒がパッケージの開発や広報宣伝などを担当。防災意識を子供に楽しく持ってもらおうと、パッケージデザイン案を募るコンテストも計画中だ。

また、一昨年から高校で義務化された金融教育の一環として、同社の財務諸表などを各校の授業で教材にするほか、将来的には在校生が株式を取得して株主となれる仕組みを作ったり、科目を横断して会社経営を学びに活用したりしていく予定だという。瀧本教諭は「机上の空論ではないリアルな学びだからこそ、生徒たちの成長を感じている」と話す。

高校内株式会社について詳しい高崎商科大の高見啓一准教授(経営学)によると、高校内株式会社は平成24年に鹿児島県指宿市の指宿商業高校を皮切りに、今回が8社目だが、「複数校での株式会社設立は私の知る限り初めてではないか」という。

高見氏は「国際競争力が低迷する日本では、課題発見・解決につなげるアントレプレナーシップ(企業家精神)を持つイノベーション人材の育成が急務だ」と指摘。また、教員の異動や予算面などで制限も出る公立学校だけでの取り組みと比べ、株式会社化により地域や企業など外部と連携することで互いの強みを生かした柔軟な活動ができる利点があるとした。(木ノ下めぐみ)

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