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息子の別れの涙に感じる成長 「夕刊フジ」休刊でパパにとっても惜別の旅 息子は4歳 還暦(+1歳)パパの異次元子育て

産経ニュース / 2025年2月3日 9時10分

彫刻の森美術館で、未来に向かって=1月、神奈川県箱根町

61歳のパパが、4歳の息子の子育てに奮闘中。笑顔と驚きに満ちた日々を、あるがままにつづります。

週末、箱根温泉へ1泊2日の家族旅行に出かけた帰り、息子が箱根湯本駅のホームであたりかまわず、大泣きし始めた。

「うわーん。うわーん。おじいちゃんとパパといっしょに、おおきいおふろに、もっとはいりたかった。おばあちゃんとも、ずっとあそびたい」

しゃくりあげるように、「ひっくひっく」と涙が止まらない。

神奈川県藤沢市に住む義父母と旅先で合流して、宿で一緒に過ごした。義母に甘えたり、義父から独楽(こま)回しの手ほどきを受けたりして楽しんだのだが、別れがそんなにつらいとは、予想外だった。

増えるバリエーション

4歳になり、日々おしゃべりが達者になるにつれ、「涙」のバリエーションが増えてきた。

親の言うことを聞かず叱られたり、おもちゃのパズルがどうしてもできなかったり、意に反しておもらしをしたりと、「悔し泣き」することが多くなった。

休み明けの朝、保育園へ送るとき、「まだねむいの」「ほいくえんにいかない。いえであそびたい」と、だだをこねることもある。旅先でこんなに「別れの涙」を流したのは、初めてかもしれない。

「いつでも藤沢に遊びにおいで。また、おじいちゃん、おばあちゃんと遊ぼう」。なぐさめられても、大粒の涙が止まらず、ポロポロとホームに落ちる。

駅構内のカフェで電車待ちをしているとき、義父が使い捨ての木のマドラー(かき混ぜ棒)で簡素なおもちゃを作ってくれた。それを手にし、息子はようやく泣きやんだ。自分で感情をコントールしようと、がんばっているようにも見えた。

新たな出会いが待っている

私にとっても惜別の旅だった。61年生きてきて、その半分以上をお世話になった夕刊フジが1月末で休刊した。湯に身を溶かして、しみじみ感傷にひたろうと思っていたが、不思議と涙は流れなかった。

感情が鈍麻したのだろうか。いや、大人は別れの先に新たな出会いがあることを経験的に知っているからだ、と思いたい。

すごく格好をつけて、米アップルの創業者の一人、スティーブ・ジョブズがあるインタビューで語った内容を引用してみる。

<創造的な人生を送りたいのなら、過去を振り返りすぎるな。自分がやってきたこと、自分が何者だったかを糧として受け入れた上で、それらを捨て去らねばならない>

息子が生きる世界には、物ごころついてからの「過去」がほとんどない。あるのは新たな出会いばかり。だからまだ過去を捨て去る必要などないのだ。

一方のパパは過去が「重し」にならないようにしなければならない。前を向くには、身軽にならなくては。今月から新たな部署に異動し、ウェブでニュースを発信することになったから一層、そう思う。

3歳からタブレット端末に触れ、息子は自分で好みのゲームやアニメを膨大なコンテンツの中から選択し、指先の細かいタッチで自在に操れるようになっている。

「パパ、このゲームはむずかしいんだよ。やってみて」

私の膝の上で、タブレットをいじりながら、挑発されることも増えた。生まれたときから、インターネット環境が当たり前のデジタルネーティブの息子から教えを請う機会も今後、増えるのだろう。それもまた楽しいではないか。

涙をふいて、電車に乗り込んだ息子は、「ねえ、みてみて」と、目を輝かせて車窓から外を眺めている。タブレットの動画では味わえない世界だ。切り替えが早いなあ。

中本裕己

なかもと・ひろみ 昭和38年生まれ。元「夕刊フジ」編集長。2月から産経デジタルで勤務。著書に『56歳で初めて父に、45歳で初めて母になりました』。

感想、ご意見は、(メール)life@sankei.co.jp

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