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千葉県立高生の自殺、届かなかったSOS 県教委の第三者調査委「度重なる無反応で疲弊」

産経ニュース / 2025年1月22日 22時10分

県立高校の女子生徒自殺について謝罪する県教育委員会の冨塚昌子教育長(左)ら=22日、県庁

千葉県教育委員会は22日、県立高校2年(当時)の女子生徒が令和5年10月に教諭との関係に悩んだ末に自殺した事案があり、有識者による第三者調査委員会の調査結果を公表した。自殺の背景について「生徒が何度も発信したSOSをすべて見逃し、度重なる無反応が生徒を精神的に疲弊させた」と断じ、学校側の対応を問題視。冨塚昌子教育長は記者会見で謝罪し、関係教諭らを減給処分とした。

作文に「おかしくなる」

生徒が自殺した事案はこれまで非公表だった。県教委は「遺族の思いを尊重して対応してきた。公表で学校や本人が特定されることを遺族は気にしており、遺族と対話続ける中で、このタイミングになった」と理由を説明した。

第三者調査委の調査結果などによると、生徒は自殺する5カ月前からSOSを発信していたが、すべて見逃されてしまった。

最初のSOSは5月のいじめアンケートだった。30代の英語教諭は、生徒を起立させて答えられるまで座らせないという授業スタイル。英語が苦手で起立したままの生徒は「みんなの前で恥ずかしい思いをするので英語の授業に出たくない」と記した。

7月の授業評価アンケートでは「生徒のことを侮辱するような発言が多数みられた。単語テストでは『こんなの覚えられないやつは中学生以下だ』といわれた」と訴えた。9月の作文には「英語の授業が原因で精神がおかしくなる。ガチで先生変えて欲しい」「本当に死ぬよ?」と、改善されない状況に強い不満をぶちまけていた。

追い詰められていたとみられる生徒は10月11日、英語の授業中にトイレにこもり、そのまま欠席した。それでも、20代の担任教諭は生徒に対し「今の状態なら俺は何もしてあげられない。自分で勝手にやってくれ。好きに進路を決めて好きに頑張ってくれ」と突き放すような指導をした。

「最後の砦(とりで)」ともいえる担任教諭からの叱責。生徒は翌12日、自宅を出たが、登校しなかった。そのまま帰宅せず、13日、自ら命を絶った。遺族や友人あてに遺書を残していたという。

担任、本人に聞き取りせず

生徒の一連の訴えに対し、学校側の対応は鈍く、調査結果は「いくつもの場面で不作為または不適切な指導に終始した」と断じている。

県教委児童生徒安全課の伊沢浩二課長が「適切に対応していれば、その後はいろいろな対応ができた。悔やみきれない」と話すのは、生徒が最初にSOSを発信したいじめアンケート。内容を確認した学年主任は「大丈夫なのか」と担任教諭にただした。ところが、担任教諭は生徒本人に聞き取りもせず「大丈夫です」と返答し、校長ら管理職にSOSは届かなかった。

誰か一人でも深刻に受け止めていれば救えた命かもしれない。「生徒に寄り添った指導を各学校に繰り返し伝えてきた。忸怩(じくじ)たる思い」。会見で謝罪した冨塚教育長は生徒指導のあり方について触れたが、現実はほど遠い。(岡田浩明)

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