クマ被害は冬眠前の9月以降に急増傾向 行楽シーズン到来、ブナの実の凶作地域は要注意
産経ニュース / 2024年9月3日 13時59分
クマによる人身被害は例年、冬眠前の栄養補給期に当たる9月以降、急増する傾向にある。ハイキングなど行楽シーズンと重なるため、より注意が必要になる。好物であるブナの実の豊凶具合も事前に確認したほうがよさそうだ。
令和5年度のヒグマやツキノワグマによる人身被害数は19道府県の219人で、最多だった2年度の158人を大幅に更新。うち死者は北海道や岩手などで計6人に上った。
今年度も北海道や東北地方を中心に被害が続いており、今年7月までに47人(うち死者2人)。一方、環境省の資料では、被害はこのところ9月以降に急増する傾向にある。
令和元年度は8月に10人だったが、9月は22人に増えた。2年度は8月の29人から9月は25人とわずかに減ったものの、10月に46人と前月比でほぼ倍増した。過去最多の被害者数を記録した5年度も同傾向だった。
東北は持ち直し、新潟は「不作」予想
冬眠に備えてクマの食欲が増す「飽食期」が10~11月とされ、多くの餌を求めて行動が活発になってくるころ。この時期に主食となるブナの実などの堅果類が不作だと、行動圏が拡大して人の生活圏への出没が増える要因になる。
林野庁東北森林管理局によると、青森、岩手、宮城、秋田、山形のブナの実のなり具合は昨年度、いずれも「大凶作」だった。今秋は青森と宮城で「豊作」、岩手、秋田、山形は「並作」と予想されている。
新潟では、県調査で「不作」と予想。上越、魚沼、中越の各地域では、「凶作」の可能性がある。同県によると、県内の今年度のクマの目撃件数は8月下旬で600件を超え、同時期では過去5年間で最も多くなっているという。
環境省は「堅果類の凶作時はクマの行動が大胆になる」と指摘。当該地域では、山菜採りやハイキングといった入山時における備え(鈴の携帯など)をより充実させるほか、人の生活圏でも生ごみ撤去や家屋の戸締りの徹底などを呼びかけている。
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