被団協にノーベル平和賞「核なき世界へ尽力」 佐藤栄作首相以来50年ぶり2例目
産経ニュース / 2024年10月11日 18時10分
ノルウェーのノーベル賞委員会は11日、2024年のノーベル平和賞を日本各地の被爆者らでつくる日本原水爆被害者団体協議会(被団協)に授与すると発表した。授賞理由について「核なき世界を実現するために尽力し、証言を通じて核兵器が二度と使われてはならないと示してきた」としている。核廃絶や被爆の実相を世界に伝える長年の活動が評価された。
日本の個人や団体への平和賞授与は1974年の佐藤栄作元首相以来で50年ぶり2例目。ウクライナに侵略し核使用をちらつかせるロシアや核開発を加速させる北朝鮮を念頭に、同委員会は被団協に賞を授与することで世界で強まる「核の脅威」に警鐘を鳴らした形だ。2017年には非政府組織(NGO)「核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)」に平和賞を授与した。
1956年に結成された被団協は、反核運動と被爆体験の伝承をリードし、後遺症に苦しむ被爆者の救済に取り組んできた。核拡散防止条約(NPT)再検討会議などの国際会議にも代表団を派遣し、世界に核軍縮の必要性を訴えてきた。
同委員会は広島と長崎に原爆が投下された1945年以降、80年近く核兵器が戦争で使われていないとして、「被団協や被爆者の並外れた努力は(核を使用してはならないという)『タブー』の確立に大きく貢献した」と説明した。
「肉体的苦しみやつらい記憶を平和への希望や取り組みを育むことにささげた全ての被爆者に敬意を表する」ともコメント。将来的に被爆者がいなくなっても「日本の若い世代が経験とメッセージを受け継いでいる」とし、日本の関係者の活動を全面的に評価した。
平和賞は昨年までに111人と30団体が受賞している。賞金は1100万スウェーデンクローナ(約1億5700万円)で、授賞式は12月10日にオスロで開かれる。
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