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京都・桂川で時代異なる治水施設 先人と災害との闘い示す

産経ニュース / 2024年6月15日 6時0分

幕末以降に設置されたとみられる木製のくい列=京都市伏見区

京都市伏見区横大路の桂川河川敷で、江戸時代に岸の浸食防止や水流制御などの機能を果たしていた「水制(すいせい)」と呼ばれる石積みの治水施設跡が出土した。また周辺では、幕末以降に設置されたとみられる木製のくい列も見つかった。形の異なる治水施設が、時代をまたがり一度に出土した例は珍しい。氾濫などの自然災害と先人との闘いを示す貴重な史料とも位置付けられ、専門家は発見の意義の大きさを指摘する。

国土交通省の桂川拡幅工事に伴い、京都市文化財保護課が左岸の4310平方メートルを調査した。その結果、河川敷から水制跡4基と、川の流れに沿って打たれたくい列がそれぞれ出土した。

水制は川岸に向かって流れる水を河川中央に押しやるため、川岸から岬状に設けた施設。出土した4基のうち3基が同時に機能していたとみられる。

最も大きい水制跡は東西約25メートル、南北約15メートルの規模を誇る。岩を乱雑に積み上げていたが、水流が直接ぶつかる場所には大きな石、当たらない部分には小さな石を使う工夫が凝らされていた。

川岸の浸食防止などだけでなく、集落につながる水路が氾濫で逆流しないように防ぐといった地域ならではの目的もあったとみられる。

水制が描かれている桂川の絵図から、遅くとも江戸時代中頃から後半にかけて設置されたことが推測できるという。

また、くい列は河川の流れに沿う形で南北約60メートルにわたり出土。水制の廃棄後に設けられていたことから、幕末から大正時代にかけて設置されたとみられる。

くいの高さは現状で約1・3メートル。先端は腐食しており、本来の高さは確認できなかったが、くいに水をせき止めるために木の枝や竹を編んだ「しがらみ」を結び付けていた可能性があるという。

国内の治水技術の歴史に詳しい帝京大文化財研究所の畑大介客員研究員(中近世考古学)は「江戸から近代にかけての河川の治水工事の実態が明らかになった意義は大きい。しかも護岸のない岸にそのまま水制を設けた事例は珍しく、川から舟で石を投げ入れたのだろう」と話した。(園田和洋)

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