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奈良期の掘立柱建物跡出土 須恵器の流通管理施設か 滋賀・御館前遺跡

産経ニュース / 2024年10月10日 19時2分

出土した不良品の須恵器

古代蒲生(がもう)郡の役所「蒲生郡衙(ぐんが)」の推定域に含まれる滋賀県近江八幡市の御館前(みたちまえ)遺跡で、奈良時代の掘立柱(ほったてばしら)建物跡が14棟出土し、同県文化財保護協会が10日発表した。14棟は古代の公的施設の建物にみられる特徴があり、郡衙に関連する建物群とみられる。遺物の出土状況から、近くの鏡山古窯趾群で生産された須恵器の流通を管理していた施設だった可能性もあるという。

調査地は古代官道の東山道沿いにあり、近隣には古墳時代中期~後期の千僧供(せんぞく)古墳群が広がっている。このため古墳時代の有力者が飛鳥・奈良時代も継続的に統治し、郡衙が形成されたと考えられるという。

御館前遺跡とその周辺ではこれまでにも、奈良時代頃の掘立柱建物跡が15棟出土している。いずれもほぼ真北の正方位を主軸とし、大型の方形の柱穴で構成されている点で、今回発見された建物群と一致する。公的施設に用いられる建物の特徴で、いずれも蒲生郡衙(中枢施設は未発見)の一部である可能性が高い。

今回見つかった14棟の面積は多くが数十平方メートルで、最大は96平方メートルに及んだ。2棟の柱穴は方形周溝墓(弥生時代後期~古墳時代初頭)を囲む周溝にかかっていたが、墳丘は避けていたことも明らかになった。

出土遺物は、焼成不良、歪み、火ぶくれによる割れなど須恵器の不良品が目立った。これらの遺物は須恵器窯跡の周辺施設から出土するケースが多く、約3・5キロ南西にあるブタイ遺跡(竜王町)で出土した奈良時代の遺物の特徴とも共通している。

今回の調査を担当し、9年前にブタイ遺跡の調査にあたった県文化財保護協会調査課の重田勉主幹によると、ブタイ遺跡の遺物は同じ不良品でもより粗悪であることから、鏡山古窯趾群で生産された須恵器の1次選別所と推定。一方、今回の建物群は、各地に流通させる前段階の2次選別所だったとみられるという。

京都府立大の菱田哲郎教授(考古学)は「倉庫と考えられる総柱建物跡も近くにあり、今回の調査区は生産に関わった施設が候補になる。須恵器生産に関与したことが分かり、郡衙の役割を知る上で重要な発見だ」と評価している。

現地説明会は今月12日午後1時から1時間程度。駐車場はない。問い合わせは同協会(077・548・9780)。

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