応仁の乱で焼失、石見城跡から室町期の防御施設「横矢掛」跡が出土
産経ニュース / 2024年11月21日 17時14分
室町時代に乙訓地域を統治した複数の小領主の城の一つ、石見(いわみ)城跡(京都市西京区大原野石見町)の発掘調査で、敵の側面に矢を射る防御施設「横矢掛(よこやがかり)」の跡が出土した。市文化財保護課が発表した。横矢掛は近世城郭の基本施設の一つだが、室町期の城跡から見つかるのは珍しい。
この地域は室町時代の14世紀後半~16世紀後半、西岡被官衆と呼ばれる8人ほどの小領主が治めた。石見城は鎌倉時代の13世紀に築かれたとされる。善峰川南岸を支配した小野氏の館と推定され、15世紀の応仁の乱で焼失した後は再建されることはなかった。
市文化財保護課は城の範囲を確認する目的で、現存する凹凸の地形から二重と想定される堀や土塁に囲まれた城の中心部と、その周辺の約350平方メートルを調査した。
同課によると、土塁の西部から門跡の一部が出土。想定されていなかった場所で、柱穴や階段跡も出土した。さらに門跡の北隣に設けられた方形張り出し部では、堀を埋め立てるなどして土塁を拡張していた形跡が確認された。横矢掛とみられる。一緒に出土した土器などから14世紀後半~15世紀初めに整備されていたことが明らかになった。
横矢掛は、敵の側面から矢を射かけるなどして侵入を防ぐ施設。石垣を持つ近世城郭では珍しくない存在だが、弥生時代の環濠集落で戦乱期に併設されている例もあるという。
同課は「横矢掛は南北朝の動乱の中で設けられたものだろう。物集女(もずめ)城など乙訓地域で中世に築かれた城はいずれも方形で、広い張り出しを持つ石見城は特異な存在だ」としている。
滋賀県立大の中井均名誉教授(日本考古学)は「西岡被官衆の城が16世紀まで残る中、石見城のみが15世紀に消えている点が興味深い。横矢掛は時代的に見ても軍事目的というより、施設建設のために広げたと考えられる」と話した。
現地説明会は23日午前10時~正午、申し込みは不要。(園田和洋)
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