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「よりよい活動模索していく」 紀子さま58歳 文書回答全文

産経ニュース / 2024年9月11日 0時0分

秋篠宮妃紀子さまが58歳の誕生日に際し、宮内記者会の質問に回答された文書の全文は次の通り。

--悠仁さまは成年を迎えられました。母としての感想や、皇位継承順位2位の成年皇族として期待していることをお聞かせください。現在高校3年生ですが、今後の進路をどう考え、サポートされていますか。最近のご様子と合わせてお教えください。

<母としての感想>

「長男の悠仁が誕生してから18年という年月が経ったことを感慨深く思っております」

「長男が誕生したとき、お印(身の回りの品につける徽章)にちなんで親しい人たちからお祝いに贈られた高野槇が、ずいぶんと大きく成長しました。その近くには池があり、周辺には水草が繁り、鳥のさえずりや虫の鳴く声が聞こえます」

「小さかった頃、クヌギやコナラの林でカブトムシを探し、その幼虫を育て、烏山椒の葉につくアゲハチョウの幼虫を見つけては観察していました。また、賑やかに鳴くセミ、飛び跳ねるバッタを追いかけるなど、さまざまな虫に関心を持つようになりました。いつしか、自分の指よりも大きいトンボを手にとり、間近で複眼、翅(はね)や肢(あし)の特徴や、放したトンボの飛び方を観察して『これはなんだろう』『なぜだろう』『どうしてだろう』と昆虫の図鑑で調べるようになりました。長男が幼稚園や小学校低学年のとき、水分補給係とトンボ見つけ隊の一人として、リュックサックを背負って一緒に野山の水辺のある場所へよく出かけた夏の日を懐かしく思い出します」

「そうするうちに、山や川に出かけ、多様な自然環境に棲むトンボの羽化から産卵行動までの生活史を観察・記録するようになりました。あるとき、ヤゴの夜間の行動を、ビデオカメラで記録しようとしていましたが、ヤゴが移動したために思い通りに映像を撮ることができず、試行錯誤を繰り返しながら根気強く記録を続けて、ついに撮影ができたことも心に残っています」

「長男が中学校1年生の3学期頃からはCOVID-19の感染が広がり、その影響で、しばらくは離れた場所でのトンボの調査がしにくくなりました。その一方で、赤坂御用地内の池の周辺を歩き、じっくりと観察し、調査に時間をかけることができました。トンボ類の生息環境について専門家にも意見を聴くことが増え、また赤坂御用地内の希少な植物に目を向けるようになりました」

「思い返すと、長男は幼少のころから、虫探しや木登り、木の実・木の葉拾い、野菜作りなど、一年を通して屋外で過ごすことがよくありました。小学生になると、ものを作ることへの興味も増し、色紙で立体的な生き物や花を折ったり、大きくコピーした御用地内の地図の上に拾った木の実を置いて、種類と場所がわかる『どんぐりマップ(どんぐりさがし)』を作ったりしました。さらに、LEDでなく電球の古いタイプの信号機を実際に見に行って模型を作り、昔の道具について図鑑で調べて粘土などで小さな道具を作るなど、工作に夢中になっていた時期もありました。宮内庁職員組合の文化祭に出した作品『昔の暮らし』は、家族5人で古民家の家屋と、畳や襖、囲炉裏などの内装、鍋釜や桶などの道具類、庭の井戸や畑の作物、鶏小屋まで、それぞれが担当して協力して取り組んだ模型です。我が家の宝物のひとつとなっています」

「暮らしの中で出会ったことや昆虫などを観察していたときの『あっ!』と思う気持ちから始まり、それが探究や創造へとつながっていく体験のひとコマひとコマが、いまの本人の成長へとつながり、支えているのだとつくづく感じています」

「宮邸の水田の稲穂が色づいてきました。空を飛ぶ秋津(あきつ)(トンボの古名)を見かけることが多いこの時期に、今まで長男の成長を見守ってきてくださった方々に感謝の気持ちを抱きつつ、改めて私たち家族が長男とすごした時間にしみじみと思いをいたしております」

<最近の様子>

「最近の様子ですが、この夏は家族3人で、岐阜県と京都府を訪問しました」

「岐阜県では、『全国高等学校総合文化祭(総文)』に出席しました。地元の高校生たちが中心となって時間をかけて作り上げた開会式の第三部、開催地発表は、『青春(アオハル)』がテーマでした。各部門の紹介をつなぐ演劇『子ども卒業式・アオハルって?』では、舞台上の高校生が、自分たちは子どもなのか、それとも大人なのか、考え悩む自分たちの思いを率直に表現し、アオハルは十人十色で、それぞれの道を切り拓こうとしていると語っていました。全国から参加している高校生たちは長男も含めて、そして私たち大人も一緒になって、青春(アオハル)の舞台にそれぞれが心動かされていたように思います。長男が全国の高校生たちの作品や発表を見聞きし、岐阜県内各地の高校生が数年前から協力し準備して大きな祭典を作り上げてきた様子にふれる大事な機会になりました」

「また岐阜では、長良川で鵜飼を代々受け継ぐ宮内庁式部職の鵜匠と会いました。長男は、鵜匠から1300年前から続く伝統漁法の技に関する話を初めて聞き、『いつかぜひ見にきてください』と誘われ、うれしそうにしていました。長良川沿いの宿泊先の部屋から、遠く鵜飼船のかがり火の風景を眺めることもできました」

「京都では今年、『第27回国際昆虫学会議』が開催されました。私たちはその開会式に出席するために訪れましたが、長男はこの会議の組織委員会からの招待で行きました。限られた時間ではありましたが、会議のテーマである“Consilience”(知の統合)にちなんで、複数の分野(保全学、進化形態学、民族昆虫学など)の人たちから昆虫食やトンボの研究などの話を聞く機会をもつことができました。また、並行して開催されていた昆虫の絵画展や写真展も観賞しました。そこでの出会いや交流から、さらに視野を広げていくことを期待しております」

「先週末には長男が通う高校の文化祭がありました。長男はクラスの企画に参加し、友人たちと校内をまわって、残り少なくなってきた高校生活を楽しみ、大切にしているように感じました」

<今後の進路をどう考え、サポートしたいか>

「高校では、生徒たちが進路についての説明や、卒業生による進路・大学紹介を聞き、クラスで先生や友人と話す機会がありました。学年が上がる中で、自らの将来について考えを巡らせてきたようです。長男が好きなこと、学びたいことに取り組み、自分の興味を大事に持ち続けてほしいと願っています。学ぶ場所は、長男自身がしっかり考え、決めたことを尊重したいと思っております」

「進路を自ら決めていく過程で迷い、悩むこともあるかと思います。必要なときに、これまで培ってきた力を発揮できるように、エールを送りたいと思います」

<成年皇族として期待していること>

「長男は9月6日に18歳の誕生日を迎え、法律の上で成人になりました。しばらく先におこなわれる予定の成年式を終えてから、学業に支障がない範囲で、成年の皇族として宮中の行事や祭祀に参列するようになります。家族と一緒に行事に出席することもあれば、一人で参加する機会も出てくることでしょう。公的な仕事においても、勉学に励む場や、それ以外の取り組みでも、それぞれに大切な学びがあり、役割があるように思います。成年の皇族としての務めをひとつひとつ大事にして、経験を重ねてほしいと願っています」

--この1年は体調を崩された時期もありましたが、現在はいかがですか。秋篠宮家は様々な活動を引き継がれていますが、担い手が減る中で、時代や社会の変化に応じて現在の活動を見直すことはお考えでしょうか。ネット上などで秋篠宮家へのバッシングともとれる情報による批判が続いている状況をどう受け止めているか、あわせてお聞かせください。

<現在の体調、活動状況>

「いま、公的な仕事やさまざまな活動をしながら、日々の生活を送ることができる体調になりましたことを大変ありがたく思っております」

「体調がすぐれなかった時期には、不安を抱いていましたが、家族のやさしさ、周囲のあたたかな言葉や気遣いが大きな支えになりました。また、自分の食生活や睡眠、仕事のペースを見直しながら、ゆっくりと身体を休めるように心がけるようにしました。このような中で、徐々に回復してまいりました。今では、御用地内を夫婦で散策し、野山を歩くようになり、体力もついてきました。足元に咲く小さな草花の姿や香りに惹かれ、訪花昆虫に見入り、樹々の幹や枝にふれながら、命の営みをより近くに感じています」

「このようにして日々過ごせることに感謝しつつ、体調に気をつけながら今後の公的な務めを果たせるように努めてまいりたいと思っております」

「いくつかの団体で総裁職を務め、さまざまな行事に出席することを通して、地域の人々の暮らしや社会がよりよくなるように活動する方々にお目にかかる機会があります。その度に、真心をもって取り組む姿勢やあたたかな言葉が、人々の支えになり、力になっていることを感じました」

「今年の4月に、能登半島地震後に地元を離れて金沢で出産した母親や出産直前の女性、出産を控えた母親といっしょに避難してきた子どもたち、そして出産を支える助産師の皆さまや、子どもたちと一緒に遊ぶボランティアと学生にお会いしました。住み慣れた場所を離れたお母さま方や子どもたちは不安も抱えていらしたと思いますが、助産師と話すお母さま方の表情は穏やかで、子どもたちはボランティアと一緒に思い思いにおもちゃで楽しそうに遊んでいました」

「不安定な天気が続き、まだ暑さが残る今の時期、母親も子どもたちも、どうか体調に気をつけて、お健やかにと願うとともに、能登半島に暮らす人々、能登半島を離れて暮らす人々の健康を願わずにはいられません」

<活動の見直しについて>

「現在はさまざまな公的な仕事に携わっています。同じ週に続けて幾つかの行事が入ることもあれば、時間的に余裕をもった週をすごすこともあります。また、複数の行事が同じ日に重なることもありますので、早めに調整し、行事の準備をすることも大切だと感じています」

「以前に宮様がお誕生日の記者会見で、『時代や社会の変化に応じて、現在の活動の進め方を工夫することは、必要になってくるのではないかと思います』とお話しになりました。今後も、例えば行事の主催者と皇嗣職が相談しながら、よりよい活動のありかたを目指し模索していくことなどが求められるのではないかと考えております」

<ネット上でのバッシングをどのように受け止めているか>

「ネット上でのバッシングによって、辛い思いをしている人が多くいるのではないかと案じています。私たち家族がこうした状況に直面したときには、心穏やかに過ごすことが難しく、思い悩むことがあります。その一方で、公的な仕事を通して、あるいは普段の生活でも、私たち家族のことを大切に思ってくださり、理解してくださる方々がいらっしゃることを誠にありがたく感じております」

「これからも、公的な仕事やさまざまな活動でお会いする方々の言葉や、自分の思いを伝えるときの言葉の一つひとつを大切にしながら、誠実に務めてまいりたいと思っております」

--佳子さまは国内外で多くの行事に出席されていますが、こうしたご活動や家庭でのご様子をどうご覧になっていますか。女性皇族が結婚後も皇室に残る案について議論されています。佳子さまの結婚や将来についてのお考えはいかがでしょうか。ニューヨークで暮らす小室眞子さんへの思いも合わせてお聞かせください。

<佳子の活動や様子について>

「次女の佳子は、この一年も国内外でさまざまな公的な仕事をしてきました。そのひとつひとつに心をこめて携わり、頑張っている姿を頼もしく思っております。そして経験を重ねる中で、彼女らしいものの見方を育み、新たな視点を持ちながら自分の考えをしっかりと持って取り組んでいる様子、いろいろなことを考え、どのような仕事にも丁寧に臨んでいる姿を見て、刺激を受けたり学んだりしています」

「女性皇族が結婚後も皇室に残る案については、以前に宮さまがお話をされていましたことと重なりますが、制度に関わることになりますので、お答えを控えさせていただきます」

「今は成年皇族として、心を尽くして公的な仕事に携わりながら日々過ごしています。これからも健康に気をつけて、元気にすごしてほしいと思っております。そして彼女らしい生き方、幸せを心から願っています」

<海外で暮らす眞子について>

「この暑い季節を、長女の眞子はどう過ごしているかしら、元気にしているかしらと思い、遠く離れた場所に暮らす娘のことが心のどこかに感じられます」

「あるときは、娘が小さいときに一緒に読み親しんだ本を部屋の書棚で見つけてうれしくなってページをめくったり、またあるときは、子どもたちと読んでいた絵本の原画を展示している展覧会に出かけたりしました。娘が好きな本や音楽の話に耳を傾けていたときのこと、芸術鑑賞、山歩きやスキーなどを一緒に楽しんだ思い出が、いまも色褪せずに心のアルバムにおさまっています。いつも彼女の幸せを願っています」

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