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3代の天皇と英王室、痛み乗り越える「和解のプロセス」 両陛下、22日からご訪英

産経ニュース / 2024年6月21日 22時14分

英国訪問を前に記者会見に臨まれる天皇陛下=19日午後、皇居・宮殿「石橋の間」(代表撮影)

天皇陛下は22日から、皇后さまとともに英国を公式訪問される。在位中の天皇の国賓としての訪英は昭和天皇、上皇さまに続き、3世代目。戦後、皇室と英王室の関係性の中で実現した日英間の国賓往来は、先の大戦のわだかまりを解きほぐす和解のプロセスでもあった。戦後生まれの陛下が今後、英王室とどのような関係を築かれていくのかが注目される。

現実に向き合う

「両国民間の関係が常に平和であり友好的であったとは偽り申すことができません」

昭和46年、初めて天皇として訪英した昭和天皇を前に、英女王エリザベス2世は晩餐会(ばんさんかい)で、先の大戦に明確に言及した上で和解の道を示した。一方、昭和天皇は日本が英国から多くを学んだことなどを強調しつつも、戦争には触れなかった。

女王の言及の背景には、旧日本軍による英国人捕虜問題などで色濃く残る反日感情があった。バッキンガム宮殿に向かう昭和天皇の馬車列には沿道からコートが投げつけられ、昭和天皇が王立キュー植物園に植樹したスギは切り倒された。

《戦果ててみそとせ近きになほうらむ人あるをわれはおもひかなしむ》

当時の昭和天皇の御製(ぎょせい)には、こうした現実に対峙(たいじ)した複雑な心境がにじむ。4年後、女王を日本に迎えた昭和天皇は晩餐会で、両国の関係には「大きな試練」があったと戦争に言及した。

半世紀かけて

昭和天皇に先がけ、皇太子として年齢の近い女王と関係を築かれてきたのが上皇さまだった。昭和28年、女王の戴冠式(たいかんしき)にご参列。平成10年には、初めて国賓として訪英された。この際も馬車列に背を向ける抗議活動があったが、上皇さまはありのまま受け止め、女王とともに前へと進まれた。

女王は晩餐会で、戦争の記憶は「今日も私たちの胸を刺す」としつつも、日英は「新しい形で深い友情を築き上げてきました」とスピーチ。上皇さまは「戦争により人々の受けた傷を思う時、深い心の痛みを覚えます」と率直に語られた。

継承の先に

来日したエリザベス女王と15歳で対面し、3世代の天皇で唯一、長期の英国留学を経験された陛下。チャールズ国王をはじめ、王室メンバーとは「家族」のように交流を重ねられてきた。

19日の記者会見では、戦後世代として「過去の歴史に対する理解を深め、平和を愛する心を育んでいくことが大切」と述べられた。英国での晩餐会では先例に倣い、国王のスピーチに続いて陛下が答辞を述べられる予定だ。宮内庁幹部は、「陛下は、昭和天皇や上皇さまのご経験の継承を大切にされている。その上でご自身の経験も踏まえ、新しい時代の日英親善に向き合われるのではないか」と話している。

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