帝王学は「天皇陛下のお側で」 悠仁さま、筑波大生に 専門家「皇室の一体性」を提案
産経ニュース / 2025年1月2日 10時0分
秋篠宮さまの長男、悠仁さまは今春、筑波大(茨城県つくば市)の生命環境学群生物学類に進学される。悠仁さまは次世代の天皇となるために「帝王学」をどのように修得されるのか。「そのためには父上だけでなく、伯父の天皇陛下が甥の悠仁さまに天皇としての心得を伝えられるような工夫も必要だ」と提案するのは、皇室史の専門家で京都産業大名誉教授の所功氏だ。令和の皇室に横たわる課題と、帝王学の具体的な在り方について、所氏の考えを聞いた。
次代を担われる秋篠宮さまのお考え
令和になり、秋篠宮さまは皇位継承順位で1位、悠仁さまは2位の立場になられた。
秋篠宮さまは昨年11月、59歳の誕生日に際しての記者会見で、悠仁さまへの期待について「一つ一つ自分が関わる仕事を大事に思って、取り組んでほしい」と述べられた。
また令和7年に戦後80年の節目を迎えるにあたり、先の大戦や昭和史についての書籍を「機会を見つけて、読んで、それで理解を深めていくということも、私は大切なことだと思っております」と語り、悠仁さまにそうした書物を紹介する機会を持たれていることを明かされた。
一方で、上皇さまが陛下に授けられたような、仁徳の向上や歴代天皇の学びについては、方針を明言されていない。
この点に関して、所氏は「皇位は直系父子継承が理想とされ、皇太子は父帝を最高のお手本として学びながら育つことができた。しかし、令和の今日では、陛下と5歳しか変わらない弟の秋篠宮さまが皇嗣となられた。したがって悠仁さまが次の世代の皇位継承者として育てられるには、新しい工夫も必要だと思う」と指摘する。
本家と分家の隔たりという課題
所氏が提案するのは、秋篠宮さまと悠仁さまがともに、陛下から天皇の心得と体験について、具体的に学ぶ機会をもたれることだという。
ただ、秋篠宮さまと悠仁さまが陛下のもとへ出向かれるには、少し難しい事情も存在する、と所氏はみている。それは、皇室内における「内廷」と「宮家」の立場の違いという問題だ。
令和元年以来、秋篠宮さまは皇位継承順位1位の「皇嗣」であり、秋篠宮家のご当主でもある。
「平成の31年間、今の陛下は『皇太子』であり、皇室の本家にあたる『内廷』の構成員だった。しかし、令和になり、次代を担う秋篠宮さまは、本家に合流せず、宮家という分家の当主に留まられた。この『内廷』と『宮家』、つまり本家と分家の違いが、悠仁さまへの帝王学を難しくしているかもしれない」と所氏はいう。
実際、令和になり、皇室で歴代天皇の事績を学ぶ機会のスタイルが変化している。
所氏によると、明治以来、歴代天皇の崩御後一定年数ごとに神道式の「式年祭」が営まれている。
平成を振り返ると、その式年祭に先立ち、天皇、皇后だった上皇ご夫妻が、該当する天皇の事績について進講を受けられる際には、皇太子同妃だった今の両陛下も同じ場に陪席されていた。
ところが、令和になってからは、この進講が皇居の御所で行われた後、改めて赤坂御用地の秋篠宮邸で行われるようになり、一緒に皇室の歴史を学ばれる機会になっていない。
皇室一体で皇室史を学ばれる機会に
この変化について所氏は「いろいろな事情があるのかもしれない」と理解を示したうえで、新たな試みとして「皇室を構成する内廷と各宮家の成年男女皇族が、両陛下とともに皇室歴代史を学ぶようにされたらよいのではないか」と提案する。
式年祭自体は宮中祭祀であり、皇室の「私的な行為」と解釈されている。
しかし、その前に行われる該当天皇の事績を学ばれる進講は、「皇室の全員が必修の好機とされるにふさわしい」というのが所氏の考えだ。
「年始に行われる『講書始の儀』のように、宮殿の公的な行事とされ、その大要を公表することも検討してほしい」と所氏は語る。
皇族数が減少する中、「現在の皇室が内廷も宮家も一体となって、皇室史を深く理解して、おのおのの役割に尽力する重要性を再認識される機会にもなることが望まれる」と話している。
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