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陰の主役は「松」 皇居・乾通りで江戸城の遺構と紅葉がコラボ 30日から一般公開 現着しました!

産経ニュース / 2024年11月23日 19時59分

肌寒い日が増えてようやく秋の訪れが感じられるようになり、街中の木々の葉も色づき始めている。都心の紅葉スポットの中でも特別な存在が、皇居(千代田区)の「乾通り」だ。30日から始まる一般公開では、普段見ることのできない皇居内の歴史的遺構とともに、さまざまな樹木が並ぶ通りの多彩な表情を楽しむことができる。

変遷たどった乾門

一般公開で散策することができるのは、東京駅丸の内側にある坂下門から宮内庁庁舎前を通り、北の丸公園側の乾門に抜ける約750メートルの並木道。そのうち、乾通りは宮内庁庁舎前から、乾門までの道のりを指す。両側にはイロハモミジやトウカエデなど紅葉が計70本、ソメイヨシノなど桜が計101本。アカマツとクロマツが計55本あり、他の木も合わせて計272本に及ぶ。

江戸時代の徳川幕府の居城(江戸城)の面影を、今も残す皇居。乾通りの名前の由来となった乾門が今の位置に設置されたのは明治になってからだが、その起源もやはり、江戸城にある。西の丸の坂の下、坂下門の内側にあった「西の丸裏門」を、明治21年の明治宮殿造営の際に移設したのだという。

当初は「通用門」と呼ばれていたが、皇居の乾の方角(北西)にあることから、大正2年に「乾門」に改称。通りも江戸時代からあったが、整備され現在の形になったのは明治以降だ。

ご慶事を契機に

一般公開が始まったのは、平成26年。上皇さまが傘寿を迎えられたのを記念して、春と秋に特別に公開された。これが好評を博したことから、翌年の秋にも実施。以降は春と秋の年2回の公開が通例となり、多いときは期間中に50万人超が訪れる人気行事になった。

公開を機に、28、29年には、寿命を迎えた木などの植え替え工事も実施。同じ時期に開花や紅葉する種類を取りそろえ、桜は12品種から31品種、紅葉は5品種から8品種に増加。代替わり後は新型コロナウイルス禍の影響で一時実施を見合わせたが、令和4年秋に再開した。

一般公開の時期は、民間の気象事業者の予報などをかんがみて決めるという。気候変動の影響で、近年は桜の開花や紅葉が遅れており、見頃の時期と一般公開がずれてしまうことも。ただ、宮内庁によると、今年は夏場に雨が定期的に多く降ったこともあり、昨年よりも葉がきれいに色づくとみている。

陰の主役は「松」

乾通りの特徴の一つが、樹種の多様性だ。イロハモミジにソメイヨシノなど、種の違う樹木が混在し、同じ樹種が並ぶ一般的な並木道とは異なる景観が楽しめる。宮内庁庭園課の吉田光好課長補佐は「桜と紅葉が目立つが、並木道のメインは松」と明かす。常緑の松を中心に、四季を通して美しい景色を楽しむことができる。

乾通りの左右にある、「乾濠(いぬいぼり)」「蓮池(はすいけ)濠」「下道灌(しもどうかん)濠」の3つの堀も見どころだ。それぞれ違う風情があり、乾濠と蓮池濠の向こうには、雄大な石垣がそびえる。特に蓮池濠の方に目をやると、江戸城にあった防御設備で、長屋として唯一現存する「富士見多聞(たもん)」が景観のアクセントに。蓮池濠の反対側にある下道灌濠は、自然の地形と植生に味わいがある。

吉田氏は「天皇、皇后両陛下のお住まいがある場所なのだと感じながら、皇居の歴史的な遺構や自然を楽しんでもらえれば」と話した。(吉沢智美)

皇居・乾通りの一般公開

30日から12月8日までの9日間で、入場は午前9時から午後3時まで。退出は午後3時半まで。入場無料。坂下門から参入し、乾門から退出。坂下門の前で、手荷物検査とセキュリティーチェックを実施する。問い合わせはテレホンサービス(03・3284・6780)

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