原発事故後初のデブリ回収に成功、「廃炉の最難関」へ一歩 福島第1原発
産経ニュース / 2024年11月7日 12時32分
東京電力は7日、福島第1原発2号機の溶融燃料(デブリ)の採取作業が完了し、原発事故後初めて回収に成功したと発表した。今後、採取したデブリを国の研究機関で分析し、本格的な取り出しに向けた工法検討に役立てる。デブリの回収は「廃炉の最難関」と位置付けられ、政府と東電が2051年までの完了を目指す廃炉実現へ一歩前進した。
東電によると、7日午前11時40分、原子炉外に設置した金属製の「隔離箱」側面の扉を開け、デブリが入ったアルミ製の運搬用容器を作業員が取り出し、樹脂製の専用コンテナに収納。東電はコンテナへ移し替えた時点で回収完了と判断した。
その後、2号機建屋内に設置したグローブボックスと呼ばれる密閉装置に容器ごと移し替えた。今後、重さや大きさ、放射線量などを詳しく計測し、原発敷地外へ搬出するための準備に入る。
採取したデブリは5ミリ程度の大きさで重さ数グラム。5日に測定した放射線量は毎時約0・2ミリシーベルトで、回収の可否を判断する基準値の毎時24ミリシーベルトを大きく下回った。
デブリ回収は当初計画より3年遅れの今年8月に着手する予定だったが、作業ミスや回収装置の不具合で2度中断。10月30日に釣りざお型の装置で原子炉の底にある小石状のデブリをつかんだ。
今後、茨城県にある日本原子力研究開発機構で成分などを分析。原子炉内の状態を把握し、次のステップとなる大規模取り出しにつなげたい考えだ。炉心溶融(メルトダウン)した1~3号機には推計880トンのデブリが存在する。
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