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事故後初のデブリ採取は22日開始 東電福島第1原発2号機、廃炉実現へ正念場

産経ニュース / 2024年8月20日 18時26分

東京電力は、福島第1原発事故で溶け落ちた燃料(デブリ)の試験採取を22日に始める。汚染水の発生源となるデブリ採取に成功すれば、事故後初めてとなる。「廃炉の本丸」と位置付けられ、最難関の工程とされるデブリ回収が想定通りに進むとは限らず、政府や東電が2051年までの完了を目指す廃炉の実現は正念場を迎えている。

炉心溶融(メルトダウン)した1~3号機の原子炉建屋内には、炉内の燃料や金属の被覆管、コンクリートなどが溶けて再び固まったデブリが推計880トン堆積する。デブリは高温で強い放射線を出すため、水で冷却し続ける必要がある。さらに、地下水や雨水も建屋の中に入り込んでおり、これらが放射性物質を含む「汚染水」の発生源となる。

福島第1原発では昨年8月以降、汚染水からトリチウム以外の放射性物質を除去した処理水を海洋放出している。デブリが存在する限り、建屋は解体できず、原発処理水も流し続けなければならない。政府と東電はデブリの全量回収を目標に掲げ、試験採取は最初の一歩となる。

デブリ回収は炉内の調査が最も進んだ2号機から着手する。原子炉圧力容器を支える土台の底部にもデブリが堆積していると考えられており、回収は土台内部で試みる。使用するのは「テレスコ式」と呼ばれる伸縮装置。太さ20センチと16センチのパイプをつなぎ、釣りざおのように最大約22メートルまで伸びる。

計画では、この装置を格納容器の側面にある内径約55センチ、長さ約2メートルの貫通部に遠隔操作で差し込み、先端に取り付けた爪型の金属機器で底部に堆積した小石状のデブリをつかむ。東電によると、最初に回収するのは「3グラム未満」という。

回収後は、放射性物質を閉じ込める金属製の密閉容器に収納し、建屋内で放射線量を測定後、茨城県内の施設に輸送する。一連の作業完了には2週間程度を見込む。その後はデブリの成分や硬さなどの性状を分析し、全量回収に向けた工法の検討に役立てたい考えだ。

東電は当初、令和3年中にデブリの採取を開始する計画だったが、貫通部が堆積物に覆われ、開発したロボットアームが想定通りに入らないことなどが判明し、これまでに3度延期した。今回は過去の2号機内部調査で実績があるテレスコ式に変更し、原子力規制委員会の使用前検査にも合格した。(白岩賢太)

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