植物を揺らして害虫防除、農薬不要で収量アップも、市販化に向け実証実験中「振動農業技術」
産経ニュース / 2024年6月18日 8時10分
植物に特定の振動を与えることで害虫の行動を制御し、農業被害を軽減させる「振動農業技術」について17日までに、九州大学大学院などのグループが研究成果を発表した。農薬不要で昆虫の薬剤抵抗性もない防除法で生産者の省力化につながるだけでなく、収量増加の可能性もあると期待される。研究成果は5月10日、オランダの学術雑誌にオンライン掲載された。
進化生物学が専門の九大大学院の立田晴記教授らのグループが発表した。昆虫は配偶者やエサ探し、捕食者の動きなど、振動を利用して周囲の状況を知ったり、コミュニケーションをとったりしている。こうした反応を逆手にとって害虫の行動を制御する研究が進められている。
実験ではコナジラミを放した温室内のトマトに100ヘルツの振動を与えたところ、コナジラミの幼虫密度が約40%低下し、トマトは受粉が促進された。立田教授は「繁殖がどのように抑制されるのかは現在研究を進めている。受粉促進はやくが揺れることで、花粉がめしべに受粉したのではないか」としている。
シイタケに800ヘルツの振動を与えた結果、キノコバエ類のさなぎや成虫の発生数が減少。またシイタケは菌床をたたくと発生が促進されると経験的にいわれているが、1000ヘルツの振動を与えた菌床は菌糸の成長量が増加した。
果樹に振動を与えたところ、カメムシが動きを止めたり、脚を曲げて姿勢を低くするなどの行動がみられた。樹液を吸う行動を阻害したり、木に止まっている時間を短縮させたりする効果が期待できるという。
こうした振動発生装置はすでに実用化にむけて実証実験中で、トマト栽培用の「トマタブル」は来年以降の市販化を目指しているという。
防除効果を最大化する条件の研究や農薬との適切な組み合わせなど課題はあるが、「振動農業技術」について立田教授は「これまで化学防疫に頼らざる得なかったが、人体への影響もありうることから軽減する方法を開発しなければならない。今回の技術はそれらに貢献しうる」としている。
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