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長寿の秘訣は「卵子」にあり オスは精子で短命に…大阪大研究チームが魚で実験 おおさかラボ

産経ニュース / 2024年6月18日 19時28分

大阪大微生物病研究所、石谷太教授

卵子があると生物の寿命が延び、精子は縮める-。こんな研究結果について、大阪大微生物病研究所の石谷太教授らの研究チームが発表した。ヒトを含む多くの動物ではオスよりもメスの方が寿命が長いことが知られる。チームは「今回精子と卵子が生き物の寿命の長さに影響することが初めて明らかになった。ヒトの寿命の違いにも関係しているのではないか」としており、今後健康寿命延伸につながる研究への応用が期待される。

実験はアフリカ原産の淡水魚「ターコイズキリフィッシュ」(体長約4センチ)を使って実施。平均寿命はオスが約120日、メスが約145日と他の魚に比べても短命で知られ、人間と同じように加齢とともに筋肉が痩せたり、色素が薄くなったりする。

実験では、精巣や卵巣を残す一方で、精子や卵子といった生殖細胞を取り除いたオスとメスの稚魚を育てて、通常のキリフィッシュとの寿命を比較。いずれも通常よりも体のサイズが大きくなるとともに、オスは筋肉の再生能力や骨の量が維持されていた上、平均寿命が13%延びた。また、体内では長寿に関係すると注目を集めるビタミンDの生成も活発になっていた。

メスの場合、卵子がないと平均寿命は6・6%短縮した。今回は生まれつき生殖細胞がない場合で実験しており、成長過程での生殖細胞の有無が寿命にもたらす影響は不明。石谷氏は「寿命をコントロールするのが成熟した生殖細胞なのか未分化のものかは分かっておらず、解明は今後の課題だ」と話した。

また、チームは精子がないオスの体内に生成されていたビタミンDが、老化を防止するのではないかという点に着目。通常のキリフィッシュにビタミンDを投与したところ、オスの平均寿命が21%、メスは7%延び、石谷氏は「老化を抑制することが示唆された」と説明した。

研究結果は米科学誌電子版に掲載された。(小川恵理子)

研究成果って理解するのが難しい-。そんな感想をお持ちではないですか。府内をはじめとする大学や企業などが取り組む最先端でおもしろい研究成果を紹介します。より親しみを持ってもらおうと、研究者のプロフィルとともに随時掲載します。

いしたに・とおる

大阪大微生物病研究所教授。細胞間の情報のやり取りに着目し、老化などのメカニズムを解き明かす「生体統御学」が専門。

鳥取県出身で、研究者を目指したのは、悩みを打ち明けられる友達がいなかった幼少期、「友達ロボットを開発したい」と思ったのがきっかけだ。座右の銘は「気合い」。

今回の研究は「子供を多く産む動物ほど短命で、少ない動物ほど長命」との仮説に基づいて、約6年前から取り組んできたそう。

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