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防衛の重圧の先にある「永世」レジェンドに加わった藤井聡太21歳「長期間活躍したい」 藤井時代 永世棋聖誕生㊤

産経ニュース / 2024年7月2日 19時11分

「今後の活躍も問われる。(永世称号に)見合うよう頑張りたい」

棋聖5連覇を達成した後、「永世棋聖」と揮毫(きごう)した色紙を披露した藤井聡太は、こう語った。

× ×

「驚いたね。破られるとは思っていなかった」

苦笑するのは、21歳11カ月で永世称号を獲得した藤井に、自身の最年少記録を更新された中原誠(76)だ。

昭和46年8月3日の第18期棋聖戦五番勝負第4局。棋聖の中原は名人の大山康晴を破って2連覇を果たし、棋聖獲得5期で永世棋聖を名乗る資格をつかんだ。

「実感がなかった。今のような大騒動ではなかった。大きく報道された記憶もない」と振り返る。大山が持っていた33歳3カ月を抜く、23歳11カ月の若者が成し遂げた偉業にもかかわらずだ。

当時の棋聖戦は年2回で、中原は43年7月から1年間で3期、46年1月から約7カ月間で2期を獲得して「永世」を獲得した。それから53年後。藤井は年1回となった棋聖戦で5連覇し、中原より2歳若く「永世」を手にした。

「17歳で棋聖を奪取以降、防衛を続けている。あれほど防衛する力が強い人を見たことがない」。中原は藤井の防衛力に舌を巻く。

× ×

「勝ちたいという気持ちより、負けて失冠する怖さの方が強かった」

永世棋聖の九段、佐藤康光(54)は、タイトル防衛戦に臨む心境をこう明かす。

平成18年7月5日、第77期棋聖戦五番勝負で5連覇を果たし、当時で史上5人目の永世棋聖の称号を獲得した。「防衛した瞬間、その日からタイトルを一番長く持てるんですから」。そのときのことを思い出したのか、佐藤に笑みがこぼれた。

防衛の重圧の先にある「永世」。中原も佐藤も、「若い頃は永世称号は気にしない」と語る一方で、「うれしい。タイトル戦の結果の中でも特別」と口をそろえる。

× ×

日本将棋連盟会長で九段、羽生善治(53)は29年12月5日、15期ぶりに竜王を獲得し、通算7期で永世竜王の資格保持者となった。史上初の永世七冠の誕生だった。

47歳だった羽生。20代の頃、永世称号の資格獲得は「これから先、いくらでもチャンスはある」と思っていた。それが、年を重ねるごとに「本当にチャンスが巡ってくるのか」に変わった。「挑戦者になれるのか」「なったとしてもタイトルを取れるか」。羽生は、その重圧を跳ねのけた。

永世称号は、棋界の頂点で活躍した証しだ。大山、中原、羽生らレジェンドの中に自らの名を加えた藤井。こう言い切った。

「永世称号を獲得された方と同じように、長期間にわたって活躍したい」

ヒューリック杯第95期棋聖戦五番勝負で最年少永世称号「永世棋聖」の資格を獲得した藤井聡太。7冠に後退したが、大棋士の証しを手に、さらなる歩みを進める。=敬称略(田中夕介)

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